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e-book Japan ベルサイユのばら

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2006年5月 1日 (月)

ベルばらの娘たち

豪華絢爛なベルサイユ宮殿は、華やかな少女漫画の舞台にはぴったりかもしれない。

しかし考えてみれば、「ベルサイユのばら」以外でここを舞台にしたものは意外と少ないような気がする。代表的なものは、木原敏江の「アンジェリク」(秋田書店・ゴロン夫妻原作)だろうか。

木原敏江は少女漫画の祖ともいえる「花の24年組」の1人で、歴史物を得意とするので、ベルばら読者の方にはなじみが深いかも。「アンジェリク」は1977年からプリンセス(秋田書店)でスタートした。ベルばらの連載開始が72年だったことを思えば、何か影響はあったのかも知れない。宝塚歌劇団で舞台化されたという共通点もある。

舞台はベルばらよりちょっと前の17世紀。貴族の娘アンジェリクがベルサイユ宮での陰謀や策略に立ち向かっていく姿を描く大河ラブロマン。キーパーソンになるのが、ベルサイユ宮殿を造った太陽王ルイ14世だ。

文庫版で三巻とはいえ、密度は濃い。婚約者の伯爵ジョフレがルイ14世によって謀反の疑いをかけられ火あぶりになったかと思うと、かつての幼なじみで悪の組織の一員となったニコラに求愛され、美しいいとこのフィリップに愛される。まさしくジェットコースターの人生なのだ。

「いつも元気でたくましく、そうよ それがほかのオンナとはまったくちがう わたしのいいところ」。曲がったことが大嫌いで、太陽王にまで「ノー」が言える気丈なアンジェリクは、次々に襲いかかる苦難に必死に立ち向かう。どんな犠牲もいとわない。読者もそのたくましさと愛情の深さに、いつのまにか彼女を応援してしまうことになるのだ。

彼女の人生はいつも「巻き込まれ型」。アンジェリクは、降ってわいた不幸に振り回され、否応なしにその運命に立ち向かっていくほかないのだ。愛するジョフレが謀反の罪をきせられたときには、できうる限りの力を使ってルイ14世に直談判までする。驚くべき行動力の源は、すべて「愛する人のため」だ。

比較してみると、オスカルは圧政に苦しむ庶民に触れてルソーを学び、自ら市民の側に立つ。貴族の家に生まれ、家族が不幸に巻き込まれるわけでもない。社会の矛盾を見ないふりをすれば、普通に幸せに過ごせたはずだ。それなのに、ただ正義のために剣をとった。巻き込まれ型と対比するとすれば「思想のために突入型」といえるだろうか。

前回ご紹介した「BASARA」(田村由美)の更紗も、巻き込まれ型で剣をとった。少女漫画の主人公で、「思想のために剣をとる」というタイプはめったにいない。というか、私の記憶の中ではオスカルだけのような気がする。だからこそ、「オスカル様」は崇高であって、つい「様づけ」してしまうのだな、と今更ながらに納得するのだ。

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投稿者 松尾慈子 2006/05/01 10:13:57 ベルばらの娘たち | | トラックバック (0)

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