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2006年6月22日 (木)

花咲けるやまとなでしこ絵巻

処刑場の露と消えた王女 川島芳子

男装の麗人(6) 川島芳子(かわしま・よしこ)

誰もが注目せずにはいられない、大きな瞳の、不思議な魅力を持った少女。数多くの姉妹の中でひときわ美しく、罪のない嘘をつくのが上手で、馬に乗りたいと言い出したらきかないお転婆娘・・・そして最後には処刑場の露と消えた王女。彼女の名は――。

こう言えば、多くの人がマリー・アントワネットの名を思い浮かべるだろう。オーストリアのハプスブルク家に生まれ、幼い頃はその愛くるしさで周囲を魅了し、意のままに従わせたことから「人を指に巻く娘」と言われた。敵対関係にあったフランスとの友好を深めるため、14歳で仏・ブルボン家に嫁いだものの、仏国民からはオーストリア女め!と罵倒され、受け入れられずに死んでいった悲劇の王妃の名を。

冒頭の描写はしかし、アントワネットのことではない。この王女の名は愛新覚羅顕し(あいしんかくら・けんし)(※しは王へんに子)、またの名を川島芳子という。20世紀初頭の中国、清朝・肅親王(しゅくしんのう)の十四女で、ラストエンペラー・愛新覚羅溥儀(あいしんかくら・ふぎ)のいとこにあたる。

川島芳子という日本名は、7歳で大陸浪人の日本人・川島浪速(なにわ)の養女となった際につけられたもの。日本に渡り、女学校に馬で通学していたお転婆な少女は、17歳で突如断髪し、自分のことを「僕」と言い、男装するようになる。軍服姿で外套を羽織り、ブーツを履いた写真が現在も残っている。小柄で黒目がちな大きな瞳の、宝塚の男役を思わせる美人である

芳子は実父の遺志を継ぎ、清朝の再興を目指して日本軍に協力、謀略やスパイ活動を行ったとされた。女性の身でありながら戦場に赴き、男なみの政治力・行動力を発揮したのである。彼女の活躍を、日本の新聞は「東洋のマタ・ハリ 東洋のジャンヌ・ダルク 男装の麗人・・・ 」と華々しく伝えた。

日本の敗戦後、芳子は漢奸罪に問われ、中国国民党に逮捕される。漢奸罪とは、中国人でありながら敵国日本に協力したものが罰せられる刑であり、日本人であれば該当しない。芳子は川島家の養女となっていたが、正式には籍に入っていなかったため、日本人とは認められなかったのである。

最初、芳子は必死で罪から逃れようとした。彼女の姪で、自分と同様、浪速の養女となっていた廉子の廉の字を芳に変えた偽の戸籍を作り、送ってくれるよう、養父に再三にわたって依頼する。しかし浪速は拒絶した。返事を受け取った芳子は覚悟を決める。もはや死は避けられない。それならば清朝の王女として、誇り高く死のうと。

芳子は自分にかかわった人に罪が及ばないように、彼らの罪を肩代わりする。今まで世話になった人々を守ろうとしたのだ。あるいは王女としての誇りがそうさせたのかもしれない。中国の裏切り者として断罪された法廷では毅然としてこう語った。

「私が祖国を裏切るようなまねをするでしょうか。日本軍での行動は、あくまでも中国と日本、愛する二つの祖国のためだったのです」

アントワネットが最後はフランスの女王の誇りをもって断頭台に上がったように、芳子も毅然として死に向かっていったのだった。(さち)

     ※      ※     ※

●参考文献
「男装の麗人・川島芳子伝」上坂冬子 文芸春秋 1988年
└川島芳子の生涯をたどる。
「清朝の王女に生れて」愛新覚羅顕琦(きは王へんに奇) 中央公論新社 2002年 
└川島芳子の実妹の手記。

●劇団四季ミュージカル「李香蘭」では、狂言回しの役で川島芳子が登場。中国では今なお川島芳子は漢奸として憎まれており、中国公演では記者から「なぜ川島芳子をかっこよく描いたのか?」という質問もあったとか。
「李香蘭」 http://www.shiki.gr.jp/applause/rikoran/birth02.html
劇団四季公式http://www.shiki.gr.jp/index_j.html

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投稿者 ベルばらKidsぷらざスタッフ  2006/06/22 8:00:00 花咲けるやまとなでしこ絵巻 | | トラックバック (0)

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