いつも心に少女マンガ
ベルばらイケメン談義
マンガ好きの性(さが)で、同じくマンガ好きの友人たちとふだん、
「スマップでは誰が好き?」
「私はむしろオダギリジョーかなぁ」
くらいのナチュラルさで、
「『ベルばら』では誰が好き?」
「私はなんといってもアンドレ!昔からずっと好き!」
「そうなんだ。いや、アンドレもいいけど、ワイルドなアランも捨てがたいですよね」
ってな会話を日常的にしている私です。
でも、このコラムをお読みになってるみなさんも、「どのキャラが好き?」談義、しますよね?
…あれっ!?しませんか?
…いや、そんなキャラ談義をしている人は、きっとたくさんおられると思います(と、断言)。
たとえば、直木賞を受賞された三浦しをん氏も、そのお一人です。
三浦さんは大変なマンガ好きで、まだ20代ながら古今のマンガに詳しく、またマンガを読むことに激しい情熱を傾けておられ、エッセイ集「妄想炸裂」(新書館)には、「ベルばら」についてのエピソードも出てきます。
それによると、三浦さんは小学校低学年の頃初めて「ベルばら」を読んで、オスカルさまの言葉にいたく感銘を受け、
「ありがとうオスカル様、私は間違えません。アンドレのような『こころやさしくあたたかい男性』を選びます」
と幼心に誓ったそうですが、いざ大人になってみると、「なんだかアンドレって物足りないよ」と思うようになったそうです。
「小学生の頃に比べて男性観が後退しちゃうなんて」と三浦さんは嘆いておられましたが、うう…そうですか、アンドレじゃ物足りませんか…。
かく言う私は、大人になってからは、めっきりジェローデル派です。
オスカルの元部下でありながらオスカルに求婚し、それが退けられたときも
「あなたが不幸になるなら私も不幸になってしまう」
と身を引く、その引き際のみごとさ。そして、ジェローデル率いる近衛兵たちが命令により、国民の代表たる平民議員への攻撃をしかけたとき、身を挺して抗議したオスカルに対し、
「あなたのまえでどうして武器ももたぬ者に武力をくわえるひきょう者になれるでしょうか」
と退却。そのことでたとえ自分が咎(とが)をうけようともオスカルを守る、と決して愛情を押しつけることなく、ひそかに心に誓うその姿に、「ジェ、ジェローデル!!なんてジェントルでカッコいいんだ!!」と目がハートになった次第です。
たしかにアンドレもステキなのですが、私の場合は、物足りないと言うよりむしろ重いというか。
アンドレのようなすべてをささげつくす「献身的な愛」をそそがれるためには、そそがれる側にも、オスカルさまのように、それをある意味当然のこととして受け止められるだけの度量、いわば「愛される器」が必要なんだな、と、そこだけいきなり妙に現実的に考えてしまうのでした。
ところで、フランス衛兵隊でのオスカルの部下であるアランは、粗野な面もありながら、衛兵隊一と言われた剣の使い手であり、実は妹思いのやさしい兄でもあります。
恵まれた貴族であり、また女であるオスカルが上司であることに最初は猛反発しながら、オスカルの剣の腕前、そして部下をかばい続ける毅然とした態度に、アランはひそかに心惹かれていくわけですが、それでも素直にはなれず、心を許した妹だけにはオスカルの話をしていた…なんてエピソードを読むと、
「むむむ…アランって、…ひょっとして、ツンデレ?」
と思ってしまいます。
ちなみに「ツンデレ」とは、普段はツンツンとそっけない態度を取るけれど、一定の条件下では態度が急変してデレデレしてしまう状態や人をさす言葉。ふだんはオスカルに反抗しつつも、気持ちが抑えられずに突然強引に唇を奪うあたり、…まさにアランはツンデレと言えるでしょう!!(えっ!?違います!?)
そして、「ベルばら」のイケメンといえば外せないのが、作中ではオスカル・アントワネットという二人の女性に愛される貴公子・フェルゼンでしょう。ひかえめで、しかし男らしい魅力をもったスウェーデンの貴族である彼は、ベルサイユの貴婦人たちからも熱い注目を集める存在だったようです。国に帰ればどんな地位も名誉も手に入る恵まれた立場にいながら、出世には目もくれずフランスにとどまり、ただひたすらにアントワネットへの愛に生きた男。革命という大きな波にすら抗(あらが)って愛を貫こうとした彼は、まさに騎士道精神にみちた「貴族の中の貴族」。永遠の貴公子といえるかもしれません。
…それにしても、そもそもマンガ作品のキャラクターを、あたかも実在の人物のようにこんなに熱心に(しかも日常的に)語ってしまうあたりが、私がまわりから「少女マンガを本気で読みすぎ」と言われるゆえんなのかも、と、今さらながら、根本的な部分に思いをはせてしまったのでした…。
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投稿者 ベルばらKidsぷらざスタッフ 2006/09/15 10:30:00 いつも心に少女マンガ | Permalink | トラックバック (0)