2013年2月末をもってブログの更新を終了いたしました。 ⇒詳しく
e-book Japan ベルサイユのばら

0228delete -->

« ぬりえ座談会(その2)―塗り始める? | トップページ | 今週のベルばらKidsは「恐るべき6歳児」 »

2006年9月 1日 (金)

いつも心に少女マンガ

「オルフェウスの窓」の教訓

 以前、村上春樹氏の「村上朝日堂の逆襲」(朝日新聞社)というエッセイを読んでいたら、村上氏の奥さんのお姉さんが学生時代、堀辰雄の『風立ちぬ』を読んで、「健康というのは大切なものだと思いました」という読書感想文を書いて先生に大笑いされた、というエピソードが紹介されていました。

 いえ、もちろん名作にはいろんな楽しみ方があるので、どんな教訓を得てもいいとは思うのですが、このお話にはかなり意表をつかれ、笑ってしまいつつも「感銘を受けたのは、そこなんだ…」と、ちょっぴり脱力してしまったのでした。

表紙画像 そういえば、以前いた職場でお昼を食べながら、池田理代子先生の長編オルフェウスの窓についての話になったことがあります。「オルフェウスの窓」といえば、20世紀初頭のドイツの男子音楽学校を舞台に、「オルフェウスの窓」――そこで出会った男女は恋に落ち、かつその恋は悲劇に終わる、という伝説の窓――で出会った三人、すなわちある目的のために女でありながら男として育てられたユリウス、天才的なピアノの才能をもつイザーク、そして謎めいた上級生クラウスを中心に、彼らの数奇な人生を数々の謎をからめながら、オーストリアや革命期のロシアにまで舞台を広げて描いた大河巨編です。

 マンガの感想を語り合うのが大好きな私は、例によって

 「いや~、私はあの作品ではイザークファンでしたよ!読んでたときは、真面目苦学生イザークが『あっ、そっち行っちゃダメだ!』って言いたくなる方へどんどん行ってしまうところが、気になって気になって、身悶えしてました!」

 などと熱く語っておりました。

 すると、一人の女性が、

 「イザークが気のいい娼婦と結婚するじゃない?ロベルタだっけ。あの人が、イザークの書斎を気をきかせて整理したつもりで、勝手に本を捨ててしまったり、ついにはよかれと思って二重契約をしてしまったり、というエピソードを読んで、『いくら好きでも、境遇が違いすぎると生活はうまくいかないんだな』という教訓を得たよ」

 と言い出しました。

 な、なんだって――!!!

 「あ、あのドイツ・オーストリア・ロシアを股にかけた歴史大河ドラマを読んで、そんなめっちゃ地に足着いた、生活に密着した教訓を得ている人がいるとは…!!」

 と、驚愕しつつも、「『風立ちぬ』を読んで健康の大事さを学びました」という感想に近い脱力感もちょっと感じて…しまい…ました。

 しかしその後、なんと、複数の人から、

 「私もイザークとロベルタのエピソードを読んで、『危ねえ危ねえ、人間、結婚相手は慎重に選ばなきゃな』と思いました」

 というような話を聞いたのです。

 うーん。

 あの名作から、複数の方が同じ感想をもたれた、ということは…だんだん、池田理代子先生の「ここが描きたかった!!」という部分の一つだったのでは!?重要なメッセージだったのでは!?という気がしてきました。

 考えてみれば、いくら部屋を乱雑にしているからといって、結婚相手が私の古いマンガ本やマンガ雑誌(マンガばっかりか)を勝手に処分し、「キタナくなってたから捨てといたよ」と笑顔で言ったとしたら……、いけません!!私ならまちがいなく、大げんかになります!!(←自分にひきつけて考えてみました)
 とりあえず、乱雑にしていても勝手に人の物を処分したりしない、価値観の近い相手と結婚すべし!という《「オルフェウスの窓」の教訓》を、無意識のうちに学んでおいて、本当によかった!ふぅ、危ないところでした(?)。

 池田先生!!
 小娘だった私たちに、貴重な人生の教訓を、ありがとうございました…!!

 …まあ、それはそれとして、部屋は片づけなくてはいけませんね。(川原和子)


「オルフェウスの窓」ぬりえ

お便り募集このコラムをお読みになった皆さんの感想や質問をお待ちしています。 ⇒こちらの「ベルばらKids専用フォーム」からどうぞ。

投稿者 ベルばらKidsぷらざスタッフ  2006/09/01 17:26:47 いつも心に少女マンガ | | トラックバック (0)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/165303/11717302

この記事へのトラックバック一覧です: 「オルフェウスの窓」の教訓: