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2006年10月27日 (金)

神々のプロフィール―ばらに宿った神話―

恋愛の策士たち――ゼウスとジェローデル

 「愛している!」と叫ぶアンドレ。「どうかいつまでもおそばにおいてください!」とすがるロザリー。「わすれてください、いまは!!わたくしが王妃であることを!」ついに、長い間あたためていた愛を、うちあけたアントワネット
困難の中にあっても、熱く愛を求める人々。

 ギリシャ神話の神々も愛を求める。いや、たいがい1人だけの愛で満足できない点では、人間以上といっていい(1人の愛では足りない人間もいるけど)。その最たるものは、他でもない“神々の王”ゼウスである。ゼウスの、女神から人間の乙女、時には少年へのわけ隔てない追っかけぶりは数々の神話を生んだ。そしていつも傍らで嫉妬の復讐を企てるのが正妻ヘラの役割なのだが、当のヘラを手に入れるのに、実はゼウスはかなり苦労したのだ。 
 
 ゼウスはかなりの策士だ。時には雄牛になり、蛇になり、白鳥になって、想い人たちを追いかける。ヘラのときはカッコウの姿をとった。ゼウスはわざわざ自分で嵐まで起こして、風雨に翻弄(ほんろう)される哀れなカッコウを、これ見よがしに演じた。
「まあ、かわいそうに。」
すっかりだまされたヘラは、自分の衣でカッコウをあたためてやった。
しめしめとばかりにゼウスは正体を現し、いつもの調子で強引にせまった。ところが驚きながらも、誇り高き女神ヘラはぴしゃりと言い放った。
「あなたと同じ母の血が流れているこのわたくしが、たかが愛人の地位で満足すると思って?」
ヘラは身持ちの堅い結婚の女神。いかにゼウスでも、正式なプロポーズなしでは鼻にも引っかけないわという態度を示したのだ。

 おそらくいつもの恋愛程度のつもりだったであろう、この時のゼウスは、むしろ自分自身が罠にはまったという心境だったのではないか。しかし神々の王として、ひとりの男として、もう後には引けない。ゼウスヘラにプロポーズし、正妻に迎えた。二人の山あり谷ありの結婚生活が始まることとなった。

 ヘラのように誇り高く、絶対に「はい」とは言わなそうな女性オスカルにプロポーズしたジェローデルの場合はどうだろうか。
美形で家柄もよいジェローデルは、ゼウスと同じく自信満々。さすがに動物に変身する手段はとれないけれど、彼もなかなかの策士である。女性扱いされ慣れていないオスカルを、とことんレディとして敬い、「すべてをあずけて」と、男性として彼女を包み込もうとした。

一方で、最大の障壁がアンドレであり、自分の愛が成就するためには、なんとしてでもアンドレには勝たねばならないとわかっていた。そしてジェローデルは貴族の娘と平民の青年との恋愛小説を引き合いにしてアンドレを挑発し、自ら身を引かせようとしたのだ。

しかし、全ては見事なまでに裏目にでてしまった。ジェローデルの行為はアンドレの心に火をつけ、ジェローデルのキスに、オスカルは別の“熱い”唇を思い起こし、アンドレを意識させるきっかけを与えてしまう結果となった。

 思いはかなったが、その後の妻の嫉妬に苦しんだゼウス。思いはかなわず、愛のキューピッド役を果たすことになってしまったジェローデル
どちらにしても本人が望んでいた結果でない。どんなに策を弄(ろう)したところで、やはり恋はどうにもままならぬといったところか。(米倉敦子)


●参考文献
「ギリシアの神話 神々の時代」中公文庫 カール・ケレーニイ著 植田兼義訳
 神々のエピソード満載。彼らの誕生から、とんでもない冒険談まで。

「ギリシア神話 神々と英雄に出会う」中央公論新社刊 西村賀子著
絵画や陶器画や図版が、ふんだんに挿入されています。読みやすい本です。

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投稿者 ベルばらKidsぷらざスタッフ  2006/10/27 10:30:00 神々のプロフィール―ばらに宿った神話― | | トラックバック (0)

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