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2006年10月13日 (金)

神々のプロフィール―ばらに宿った神話―

好奇心にご用心! パンドラの物語

 ギリシャ神話には、人類誕生の物語がいくつかある。神々が黄金、銀、青銅、鉄でこしらえたというお話。大地からにょっきっと生えたというお話。そして、プロメテウスとエピメテウスが他の動物と一緒に人類を作ったというお話などである。

 「思慮(しりょ)」という意味の名を持つプロメテウスは、とても賢かった。一方、弟のエピメテウスは、「後で考える」という意の名のとおり、かなりのうっかり者であった。

 人類を作り出したときもそう。エピメテウスは1つ動物を作り出すたび、後先考えずに毛皮、羽、翼、貝殻などの身を守る優れた特性をどんどん与えてしまい、最後に人間を作ったとき、もう与えるものが残っていなかった。丸裸の無防備な状態の人間を見て、やむなくプロメテウスは神々から火を盗み出し、彼らに与えた。

 主神ゼウスは激怒し、プロメテウスは生きながら山頂に繋(つな)がれ、休息も許されず、終わることのない責め苦にさいなまれることになった。

 そしてゼウスは人間には“あるもの”を与えた。ところで、他の人類誕生の物語でも、この“あるもの”は、ゼウスが与えるまで人間は持っていなかった、いや、いなかったというべきか。

 それは、ズバリ「女性」であった。はじめ人類には、「女性」は存在しなかったのである。

 人類最初の女性の名は、パンドラ。パンドラは工芸の神ヘパイストスの手で土から作られた。女神の容貌に似せられ、内気そうな麗しい乙女であった。知の女神アテナや美の女神アフロディテらにより、美しい衣装や冠や首飾りなどで飾り立てられ、人間へのこの上なく愛らしい贈り物として仕上げられていた。

 兄プロメテウスの「ゼウスからの贈り物は受け取ってはならない」という忠告を前もって聞いていたにもかかわらず、またしてもエピメテウスは、この美しい贈り物をうっかり受け取ってしまう。しかし、この贈り物は罠だったのだ。

 パンドラという麗しい乙女にしかけられた罠、それは「好奇心」であった。パンドラはその好奇心で、ゼウスに「決して開けてはいけない」と言われて持たされた箱を開けてしまう。その箱にはあらゆる禍(わざわい)、不幸、悲しみが入っていた。禍は箱から飛び出して世界に広がり、最後にかろうじて「希望」が残ったという。

 ギリシャ神話では、女性の好奇心はなにかと災難のきっかけとなってしまう。前回のプシュケもしかり。だが、好奇心はそんなにいけないことだろうか?

 「ベルばら」の「ミス好奇心」といえば、やはりル・ルー・ド・ラ・ローランシー嬢であろう。あの小さな嵐のようなル・ルーが周囲をまきこんで起こす事件は、難儀(なんぎ)ではあるが、とってもチャーミングで楽しい。

 『ベルサイユのばら外伝 ル・ルーと、いっしょに来た人形』では、オスカルの家へ行儀見習いにやられることになったヒロインのル・ルーがその道中、「ベルサイユの街を歩いてみたい」と御者たちの知らぬ間に馬車からひとりで転げ落ちる。そして木の根元にある穴に隠された、いわくつきの人形を発見し、持ち去ってしまう。これが物語の発端で、大きな事件を解決する結果ともなった。

 お話は、ル・ルーの好奇心がなくっちゃ始まらない!のだ。

 もしもパンドラが人類に贈られていなかったら、男性だけで平和だけど、まったく面白いこともなく、かなりサミシイのでは?と思う。だから、やはりパンドラは、人類への愛のこもったすてきな贈り物だと解釈をしておきたい。

 好奇心には、ご用心!でも、これがあるから人生は楽しい!(米倉敦子)


●参考文献
「ギリシア神話」偕成社 エディス・ハミルトン著 山室静 田代彩子共訳
 初心者にも分かりやすく、内容も充実しています。英雄やトロイア戦争のエピソードも載っています。
「ギリシアの神話 神々の時代」中公文庫 カール・ケレーニイ著 植田兼義訳
 神々のエピソード満載。彼らの誕生から、とんでもない冒険談まで。

◇ルドン《パンドラ》NY、メトロポリタン美術館
◇ルーベンスとスナイデルス《プロメテウス》フィラデルフィア美術館

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投稿者 ベルばらKidsぷらざスタッフ  2006/10/13 10:30:00 神々のプロフィール―ばらに宿った神話― | | トラックバック (0)

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