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2007年3月 2日 (金)

アニばら解体新書

女の戦い 勝者はどちら?

 アントワネットが、王の愛人デュ・バリー夫人に声をかけない。たったそれだけのことが国際問題に発展するという、アントワネットとデュ・バリー夫人のあいさつ対決(第3~9話)。ベルばら序盤、最初の盛りあがりどころです。

 この話、原作では「未来の女王マリー・アントワネット」の誇り高さを示すエピソードとして描かれます。
「いちどだけ…わたしはあの女に声をかけました/でも……でももうこれきりでおわりです」と言いながら屈辱の涙を流すアントワネット。そして、そんなアントワネットの誇り高さに感銘を受けるオスカル。アントワネットのかっこよさが引き立つエピソードです。

 一方のアニばら版。大筋で原作通りに進行するこのエピソードですが、アニメ独自につけくわえられたある場面により、作品内での意味が大きく変わり、デュ・バリー夫人の方がかっこよく見えるという逆転が起こります。さて、そのある場面とは?

 それは、第9話「日は沈み日は昇る」で、デュ・バリー夫人がルイ15世の死によりみすぼらしい馬車にのせられて追放される場面。護衛として馬車に伴走していたオスカルに、デュ・バリー夫人はこう語りはじめます。

 「あなたは明日のパンを心配することが、どんなにみじめで辛いものか、知らないでしょうね」

 「あたえられたまい日の生活をとうぜんのものとしてうけとめてきた」貴族のお嬢様のオスカルと、皇女のアントワネット。生まれつき物質的に恵まれた状況で暮らしている彼女たちには、この時点ではまだそんなことを想像する余地はなかったと思われます。

 さらに、デュ・バリー夫人はこう続けます。

 「あたしは死刑になるのかしら。でも、後悔はしない。だって自分の思うまま、好きなことをやってきたんですもの」 
 「あたしはすぐに昔が忘れられる女よ。今は季節はずれのひまわりだけど、またいつか咲いてみせるわ」

 
 いやいや前向きで、自分のしてきたことに非常に自覚を持っていらっしゃる。
この時点でのデュ・バリー夫人は、明らかにオスカルやアントワネットより精神的に“大人”です。手段はともあれ、自らのやり方で道を切り開き成功を手にしてきたのですから。

 私は、ベルばらの魅力はさまざまな方法で、自分を縛り付けているものと戦う人間が出てくる点にあると考えています。オスカルとアンドレの関係はもちろん、フランス革命そのものが、「旧制度との戦い」の物語ですから。

 アニメのデュ・バリー夫人もまた、旧制度と戦い、そのはてに権力闘争に負けて消えていきました。しかし、惨めながらもきっぱりと去ってゆくデュ・バリー夫人は、妙にかっこいい。表面的には完敗ですが、かっこよさでは夫人に軍配が上がってしまいます。比べてみると物語序盤、まだまだ世間知らずのオスカルとアントワネットはいかにも幼く見えます。

 アントワネットが、幼さを感じさせるのはここだけではありません。輿入れの時に唐突にダダをこねて、オルレアン候の用意した少年と入れ替わり、その場から逃げ出そうとしたり(第2話)、ポリニャック伯夫人にそそのかされて偽の懐妊騒動を引き起こしたり(第15話)、と、次々と宮廷貴族の陰謀にふりまわされます。そんなアントワネットを守るために、オスカルはド・ゲメネ公爵と西部劇さながらに拳銃で決闘したり(第12話)、偽装文書の出所を探そうとして殺されかけたり(第7話)、宮廷で抜刀したり…(第15話)、さまざまなパターンで敵と戦う羽目になります。毎週のように抜刀したり銃を発射したりして、悪者をこらしめるオスカル。なんか水戸黄門みたい…。さしずめアンドレ&ジェローデルは助さん&格さんですか。

 長浜監督、おそらく主役オスカルの活躍の場を増やそうと考え、「アントワネットを助けるオスカル」という構図を設定したものと思われます。しかし、結果的にはアントワネットの浅はかさが鼻につくようになってしまった。個人的にそんなふうに感じました。

 もちろん、これ以降、オスカルもアントワネットも、それぞれの立場で生き方を決定していく様も描かれます。しかし「前半のアントワネット、ちょっとデュ・バリー夫人に負けてるなあ」と感じるアニばらでの女の戦いでした。(池田智恵)

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投稿者 ベルばらKidsぷらざスタッフ  2007/03/02 11:00:00 アニばら解体新書 | | トラックバック (0)

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