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2007年3月20日 (火)

世界史レッスン

日本のパスポートを持つ白人の「台湾人」   1704年

  ~アントワネット生誕51年前~

 『カルメン』(1845)の作者メリメは、多彩な才能で知られた。執筆時、彼は遺跡監督官という役人であり、また考古学者、言語学者、ロシア文学翻訳者、海外通信員、後には上院議員にまでなった。

 作家としてのデビューは22歳のとき。スペイン女優クララが書いた戯曲をフランス語に訳し、評判を呼ぶ。ところが現実にはこんな女優など存在せず、メリメ自身の創作だったと判明。

 その2年後、再び彼は『ラ・グズラ』というイリリヤ地方の民謡集を翻訳したが、またも自作によるいたずらだった。これにはプーシキンまで騙(だま)されたというから、さぞやメリメは「してやったり」の気分だったろう。人騒がせなことだ。

 だがこの程度ではまだ可愛い。あきれるほど大胆不敵な偽書の例といえば、1704年にイギリスで出版された『台湾誌』であろう。著者は、日本のパスポート(?!)を持つ台湾人ジョージ・サルマナザール。

 この人、外見は西洋人なのに台湾生まれの台湾人と称し、前年ロンドン社交界に登場して人気者になっていた。ぜひ極東についての本を書いてほしいと頼まれ、台湾語のアルファベット(?!)や発音、文法、さらには民族衣装や風習まで盛り込んだ一冊を著した次第。

 それによれば、台湾では常に生肉を食べ、年間2万人近い子供が生贄(いけにえ)に捧げられ茹(ゆ)でられている由。みんな信じたというから、当時のアジア理解度の程度が知れよう。しかも25年間も嘘がばれなかった。サルマナザールが自分で創作した台湾語の文法をマスターし、ぺらぺらしゃべり、人にも教えることができたからである(すごい才能だ)。

 ではなぜばれたか。本人がとうとう嫌気(いやけ)がさし、「実は台湾など行ったことも見たこともありません。ごめんね」と告白したのだ!なんとも間が抜けた話しではないか。

 それにしても白人なんだから見ればわかるだろうに、と思うのは、人間心理に疎(うと)い証拠。現代日本でも、次のような結婚詐欺の実例があった--

 どこからどう見ても短足純粋日本顔の初老男性が、自分は現エリザベス女王の落とし胤(だね)であると称し、幾人もの女性たちにお金を貢がせていた。うーむ・・・・・(中野京子)

 

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投稿者 中野京子 2007/03/20 8:53:45 世界史レッスン | | トラックバック (1)

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 朝日新聞ブログ「ベルばらkidsぷらざ」で連載中の「世界史レッスン」第55回目の今日は、「日本のパスポートを持つ白人の台湾人」。⇒http://bbkids.cocolog-nifty.com/bbkids/2007/03/post_60ec.html#more 18世紀初頭のイギリスに登場した、なんとも珍妙な詐欺師について書きました(ちょっぴりとはいえ、日本がからむところも面白いと思って)。  メリメの場合は、いかにもインテリが好みそう... 続きを読む

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