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2007年4月20日 (金)

アニばら解体新書

フェルゼンが撃ち抜いたリンゴ

 男性キャラではアンドレに次ぐ人気を誇ると思われる原作「ベルばら」のジェローデルですが、「アニばら」ではただの貴族のおぼっちゃんに成り下がっています。あの、いきなり現れてオスカルの本質をズバズバつくセリフをはなつ、存在感のある気障(キザ)男はどこへいったんだ~。ジェローデルがいないと後半のオスカル&アンドレの関係が盛り上がらないのに。

 しかし、代わりにオスカルアンドレの仲を盛り上げてくれるキャラクターがいます。フェルゼンです。そう、「アニばら」ではフェルゼンの行動を一つの軸として、オスカル&アンドレの関係が描かれているのです。

 「アニばら」のフェルゼンは、しょっちゅうオスカルの家に遊びに来ます。アメリカ独立戦争出征前の第20話では、「これといった話があるわけではない」 と言いつつジャルジェ家に立ち寄り、出征から帰還した後の第25話でも、アントワネットのもとに直行せずに、ジャルジェ家で数日を過ごしてから宮廷に参じます。
 オスカルが自分に惹かれていると知らずに度々アントワネットへの恋愛相談をしにくるフェルゼンと、その様子を見守るアンドレ。この3者の様子が、「アニばら」恋愛模様の大きな見所のひとつとなっています。
 
 そんな3者3様を、原作にはないエピソードでうまく描いている第20話「フェルゼン名残の輪舞」は、「アニばら」中でも出色の出来といえる回です。
 これは、出崎監督に交代後、最初にオスカルがフェルゼンへの思慕をあらわにする回。アントワネットとの密会を重ねるフェルゼンの様子を見て落ち込むオスカルと、そんなオスカルをうまくフォローするアンドレの度量の広さが丁寧に描かれています。

 ある日、オスカルはアントワネットに呼び出され、フェルゼンへの伝言を頼まれます。今日の逢瀬に行けなくなったことを伝えてほしいと涙ながらにいうアントワネットを見て、複雑な胸中を隠しながらフェルゼンの元へむかうオスカル。夕刻になり、激しい雨が降ってきましたが、雨を避けようともせずフェルゼンの元へ向かいます。

 この、登場人物の苦悩を表す“雨”というのは、この後もくりかえし使われる心情表現で、ことあるごとに降ってきます。この場面は「アニばら」の中で最初に心情表現を表す雨が降った記念的瞬間でもあるのです。

 さて、フェルゼンへの伝言をすませ、涙を隠すように去っていくオスカルの元に、アンドレ登場。優しく微笑みながら、そっとオスカルにマントを手渡します。すごくおいしい役回り! いいなあ、惚れ直しますね。

 フェルゼンがオスカルの心を揺らすような行動をとるたびに、オスカル&アンドレの結びつきの強さが強調されるという構成には感心させられます。また、アントワネットへの思いを率直にオスカルに吐露するフェルゼンと、自らの思いを隠しつつオスカルを守るアンドレの対比もうまい。

 やがて微妙な緊張感を保った四角関係も、フェルゼン自身の手によって終わりを告げます。それが第25話「かた恋のメヌエット」。先にも書いたように、アメリカ遠征から帰ってきたフェルゼンは、アントワネットの元に直行せず、一度ジャルジェ家に立ち寄ります。その際、唐突にアンドレがオスカルに投げてよこしたリンゴを銃で撃ち抜いて現れるのです。

 このリンゴに注目! 実は、出崎監督に代わってからアンドレはそこかしこでリンゴをかじっています。「なんだ? 歯ぐきの健康を強調してるのか?」と思いながら観ていた私ですが、「まんがキッチン」(福田里香著)という本の、ある1文を読んで疑問が氷塊。その1文とは

 「物語には“煙草を吸うのは本心を見せたくない人”という不文律がある」。

 アンドレが不自然なほどしつこくかじっていたリンゴは、煙草の代わりだったのではないでしょうか。そう考えながら観ると、フェルゼンとオスカルの会話を聞きながら、何も言わずにリンゴをかじっているシーンがそこかしこに。

 そのリンゴをフェルゼンが撃ち抜く第25話は、オスカルがフェルゼンへの思いを断つために、生涯ただ一回、ドレスを着て舞踏会にでかける回でもあります。動き出す登場人物の感情に呼応するように、この回以降、物語は革命に関するエピソードに時間を割くようになります。次回26話以降、物語は首飾り事件に突入。舞台も華やかな宮廷から薄暗いパリの街へ移ります。そこで民衆の生活を目の当たりにしたオスカルは、次第にアントワネットたちと考えを分かつようになります。

 その合図はフェルゼンがリンゴを撃ち抜いたあの瞬間にあるのかもしれません。(池田智恵)

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投稿者 ベルばらKidsぷらざスタッフ  2007/04/20 11:00:00 アニばら解体新書 | | トラックバック (0)

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