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2007年5月25日 (金)

神々のプロフィール―ばらに宿った神話―

命短し、美少年たちの物語

 神々は永遠に生きる。それなのに、これでもかというくらい死人が続出するのが、ギリシャ神話である。それも美しいものにかぎって、どういうわけか、安易に死んでいく。殊に“美少年”の死亡リストは、哀れとしかいいようがない。

ナルキッソス--ギリシャ神話の美少年代表といえば、彼をおいて他にはいない。何しろ水面に映った自分自身への狂恋ゆえに、
「ああ!むなしい恋の相手だった少年よ!」 と叫んでのたうちまわって死んでしまったのだから。普通間抜けに見えるはずだが、それがまた詩的に見えてしまうほど美しかったようだ。死後、水仙となって、岸辺に咲く。

アドニス--その美しさは、美の女神アフロディテと冥界の女王ペルセポネが彼をめぐって獲りあいをするほどで、それが元で猪に化けた軍神アレスに、無残に殺される。こうして冥界の女王は、まんまとお気に入りの魂を独占して、ほくそえんでいた。彼の流した血はアネモネの花となった。

ヒュアキントス--太陽神アポロンは美少女も大好きだが、美少年も大好きで、彼を溺愛していた。だが、円盤投げ遊びの最中、アポロンは鉄の円盤をヒュアキントスの急所に命中させてしまう(ものすごく痛そう)。これは、ヒュアキントスに拒絶された風の神ゼピュロスの嫉妬が原因であった。そんな哀れな少年の化身が、ヒアシンスなのである。

ヒュラス--英雄ヘラクレスのお小姓。レムノス島にて、その美少年ぶりを泉のニンフに気に入られて、そのまま泉に引き込まれしまう。ちなみにヘラクレスは、イアソンのアルゴ船での冒険の最中だったが、ヒュラス行方不明に半狂乱になり、アルゴ船のことをすっかり忘れ、船に乗り遅れる。

アキス--彼は、海の女神ネレイデス50人姉妹のひとりで、姉妹屈指の美貌を誇るガラティアの恋人であった。美男美女を絵に描いたようなカップルであったが、ガラティアに横恋慕した1つ目巨人ポリュペモスに惨殺される。アキスは、恋人ガラティアにより、海にそそぐ川に姿を変えられた。

死んではいないが、ある意味、もっと残酷な仕打ちを受けた者も…。

ティトノス-積極的な暁の女神エオスは、ティトノスをさらってきて、ゼウス「彼に永遠の命を与えて」 とお願いする。ティトノスは、確かに死にはしなくなったが、普通に年はとっていた。動けないほどに哀れに老いさらばえても死ねない恋人を、見るに忍びないと思った女神は、部屋に閉じ込め、なかったことにする。忘れられたかつての美少年は、長い年月の末、セミへと変化したという。

 全ては、その美しさゆえ。美しすぎて、愛されたがゆえ。美しいのもほどほどにしないと、命に関わるようである。

「ベルばら」本編で、幼い命を散らす薄幸の美少年といえば、ルイ・ジョセフ王太子が思い出される。幼いながらも利発で、プリンスとしての気高さを備えたこの王子は、ずっと世継ぎを授からなかった母アントワネットにとって切望であったし、未来への希望だっただろう。そして、その死は、アントワネット自身の運命の暗転を象徴していた。

「あまりにも美しく聡明であったゆえに、あまりにも深く神に愛でられて」

この王子も、どこかの神に見初められたのだろうか。(米倉敦子)

《参考文献》
「残虐とエロスのギリシャ神話」 三笠書房 羽多尋著
「ギリシアの神話 神々の時代」 中公文庫 カール・ケレーニイ著 植田兼義訳
 神々のエピソード満載。彼らの誕生から、とんでもない冒険談まで。
「変身物語」岩波文庫 オウィディウス著 中村善也訳
「ギリシア神話」偕成社 エディス・ハミルトン著 山室静 田代彩子共訳
 初心者にも分かりやすく、内容も充実しています。英雄やトロイア戦争のエピソードも載っています。

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投稿者 ベルばらKidsぷらざスタッフ  2007/05/25 11:00:00 神々のプロフィール―ばらに宿った神話― | | トラックバック (0)

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