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2007年5月10日 (木)

天の涯から―東欧ベルばら漫談

ベルばら・コード~サクレクール寺院を探せ~

 近年、世界中にセンセーションを巻き起こし、昨年はトム・ハンクス主演の映画も公開されたダン・ブラウン原作の『ダ・ヴィンチ・コード』は、「イエス・キリストとマグダラのマリアは結婚していて、その末裔は今も生きている」 という大胆な仮説のもとに創られました。日本でも、幾つもの謎解き本が出版されたり、TVの特番が放送されたりと、大変な人気だったようですね。

 この『ダ・ヴィンチ・コード』には、『ローズ・ライン』と呼ばれる世界初の経度ゼロ線が、謎を解く重要な鍵としてしばしば登場します。ダン・ブラウンの説明によると、1884年に世界共通の子午線の基点としてグリニッジ天文台が公認される前は、フランス人にとってゼロ度の経線はパリのサン・シュルピス教会を通るものであり、今もその事実の記念として、パリの歩道や中庭や街路には135個の青銅のメダルが埋め込まれ、南北に走る軸線を形作っているとのことです。
 そういえば、4年前にパリを旅行した時、そのようなものを見かけた記憶がありますが、その時は大して気にも留めず、エッフェル塔や凱旋門の写真をパチパチ撮って喜んでいたものでした。
 しかし、『ダ・ヴィンチ・コード』の主人公ラングドンは、これこそが『聖杯』、すなわちマグダラのマリアの遺骨が納められた場所を暗示するものだと気付き、ついに人類最大の謎を解き明かすのです。

 謎解きのクライマックスには、ラングドンが辿ったローズ・ラインの起点として、「パリの心臓」とも言うべきサクレクール寺院が登場します。
 このモンマルトルの丘にそびえる白亜の大聖堂は、19世紀後半、普仏戦争によって傷ついたパリ市民の心を癒す為に建造が始まり、1914年に完成しました。展望台となっている巨大なドームが特徴で、パリ市内のどこからでも見渡すことができます。
 私が一番印象に残っているのは、近代美術館として有名なポンピドゥー・センターの階上から見た風景で、なだらかな丘の上に白いドームがきらきら輝いて見える様は、まるで青空に浮かぶブラマンジェのようでした。

 ところで、フランス革命時には存在しなかったこのサクレクール寺院が、「ベルばら」に描かれているのをご存じでしょうか。
 私も最近まで知らなかったのですが、NHK教育放送『知るを楽しむ 人生の歩き方』の、今年2月に放送された池田理代子先生の回をテキストで読んで、初めて知りました。

 テキスト内で池田先生は「それが後でわかったときは、修正液を持って本屋さんを一軒一軒回りたいと思いました。いまもそのままになっています」 と答えています。
 池田先生曰く、「フランスに行ったこともなければ、飛行機に乗ったこともなかった。そんなお金もありませんでしたし。だから、図書館や出版社の資料室に行って、日本で手に入れられる限りの本を資料にしました。実物はまったく見ずに写真を見て絵を描いていたわけです」 とのこと。

 私は、池田先生のことだから、何度も現地に足を運ばれて、その感動を込めるようにして描かれたのだとばかり思っていました。フランスはおろか、ベルサイユ宮殿さえ直に見ることなく、あの大作を描かれたと知って、とても驚いたものです。
 ベルばらが連載されたのは1972年から73年にかけてですが、当時はヨーロッパに旅行する人はまだまだ少数派でしたし、インターネットもありませんでしたから、資料集めや時代考証など、創作の苦労は想像して余りあります。
 だからこそ、誰も見たことのないような美しい薔薇が花開き、そのオリジナリティあふれる世界に、多くの読者が惹きつけられたのではないでしょうか。

 勢いのままに描かれてしまったサクレクール寺院ですが、先生の努力とベルばらの魅力の前には、何の問題もないように感じます。
 さて、そのサクレクール寺院が描かれている箇所ですが、謎を解くコード(暗号)は、公爵」「結婚」「シャルロット」です。私も絶対的に「これ」と言い切る自信はないですが、多分、このコマだと思います。   
 皆さんもぜひ探してみて下さい。(優月まり)

《参考文献》 
『ダ・ヴィンチ・コード』 角川文庫 ダン・ブラウン・原作 越前敏弥・訳

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投稿者 ベルばらKidsぷらざスタッフ  2007/05/10 11:00:00 天の涯から―東欧ベルばら漫談 | | トラックバック (0)

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