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2007年6月 8日 (金)

神々のプロフィール―ばらに宿った神話―

「乙女の祈り」がかなうとき

「オスカルさま!なぜ女なんかにお生まれになったの?」
“オスカルさま”の軍服に残るにおいにうっとりし、口付けて、しまいには涙ながらにこう叫ぶロザリーは、はたから見たらちょっと、いや、かなり変かもしれない。
しかしこの台詞こそがこの世の全ての“オスカルさま”ファンの心を代弁している。ロザリーは、“オスカルさま”を愛する読者を含めた乙女たちそのものなのだ。

ギリシア・ローマ神話には、こうした乙女の切なる願望がかなえられた、非常にうらやましいエピソードが存在する。

パエストスという地にリグドスというとても貧乏な男がいた。彼は生活苦のあまり、こともあろうに「生まれてくる子が女ならば育てない」 と身重の妻テレトゥーサに宣言した。

「あんまりよ!」 と涙にくれるテレトゥーサのもとに、女神イオが現れた。昔、神の王ゼウスの子を宿したばかりに、散々その妻ヘラに苛められたという過去を持つ、自ら苦労人である女神は、この哀れな妊婦を放っておくわけにはいかないと、あんな夫のいうことなんか聞く必要は無いのですよ。安心して子供を生みなさい。」 と頼もしく言ってくれた。

勇気づけられたテレトゥーサが産み落とした子は、やっぱり女の子だった。だが、とりあえずこの時点で女神の助けは無い。思いあまった母親は、夫に「息子が生まれた」 と申告。イピスと名告げられた娘は、すくすく成長し、評判の“美少年”であると噂されるようになった。

13歳になった自慢の息子をリグドスは、金髪の美しい娘イアンテと婚約させた。パエストスで一番の美貌と称えられるイアンテとイピスは、美男美女(本当は美女美女)のお似合いのカップル。早く孫の顔が見たいとリグドスはほくほく顔。真相を知っている母親は生きた心地がしないが、もっとかわいそうなのは、イピス本人であった。

イピスは、イアンテを愛するようになっていたのだ。イアンテの方もその純真をイピスに捧げており、二人は相思相愛であった。
「なぜ女なんかに生まれたのだろう!」
とイピスは絶望的な思いでため息をついたことだろう。

息子、いや娘の不幸な恋心に大いに責任のある母親は、イピスを伴い、半狂乱で女神イオの祭壇にすがった。
「ここまで無事なのは女神さまのお陰」 と感謝を捧げながらも、内心はもうそろそろなんとかして欲しいという気持ちでいっぱいだったに違いない。

女神の神殿から出た母親が続いて出てきたイピスを見ると、驚くべきことが起きていた。イピスは、いつもよりも大またで歩き、肌の色も浅黒くなり、全体的にたくましく、顔つきも凛々しさを増していた。念願かなって、イピスは男になったのだった。

母子は今までの心労を思い、さぞ喜んだだろうが、結局この騒ぎの原因であった父親のほうは最後まで息子が娘であった事実を知らなかったのだろうかと思うと、少々複雑な気分にさせられる。

イピスのように“オスカルさま”が男だったら、あるいは男になってロザリーを愛したら、ロザリーはベルナールを選ぶだろうか。
それは、言ってはいけないことかもしれない。でも、ちょっと想像するくらいはベルナールも許してくれるだろう?(米倉敦子)

《参考文献》
「変身物語」岩波文庫 オウィディウス著 中村善也訳

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投稿者 ベルばらKidsぷらざスタッフ  2007/06/08 11:00:00 神々のプロフィール―ばらに宿った神話― | | トラックバック (0)

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