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2007年7月17日 (火)

世界史レッスン

フリーメーソンを破門し、トレヴィの泉を造った法王 1738年

  ~アントワネット生誕17年前~

 「謎の秘密結社」といわれるだけあり、フリーメーソンについてはわからないことだらけだ。その分、さまざまな陰謀説と結びつきやすく、モーツァルトやヨハネ・パウロ1世を殺したのも彼らであり、フランス革命やアメリカ独立戦争を陰で導いたのも彼らだ、との説まである。

 フリーメーソンとローマ・カトリックは犬猿の仲で、バチカンはいくどか破門を言い渡しているが、1738年、史上初の否認勅令を出したのが、クレメンス12世だった。

 この法王はフリーメーソン退治にやっきになったわけだが、実は大した効果をあげられず(フリーメーソンについてはまた章を改めて取り上げます)、むしろローマでもっとも巨大なバロック式噴水「トレヴィの泉」を造ったことで知られている。

 正確に言えばトレヴィの泉自体ははるか昔から存在しており、それを今の華やかな姿へと変えたのが、クレメンス12世という次第。ちょうどここを見下ろす丘の上に、法王の別邸クイリナーレ宮殿を完成させたところだったので、ついでに泉も美化しようと、建築家サルヴィに命じて設計させたのだ。

 泉はすばらしい芸術作品に生まれ変わる。海神ネプチューンを中心に、ほら貝を吹き鳴らすトリトーンやら豊穣(ほうじょう)の女神やらが躍動感いっぱいにひしめき、今やローマ観光に訪れる客たちは皆、うしろ向きでコインを投げ入れて大変な人気だが、当時はこの変更に迷惑をこうむった人が多かった。

 というのも、この噴水はそれまでずっと、周辺住民の生活用水だったからだ。装飾性が優先されたため、住民は上水を容器に直接受け入れることができなくなってしまった。水盤にはゴミがたまっているし、何より法王の訪問客の馬車がひきもきらず、その馬たちが直接、水盤に顔をつけて水を飲むのだからたまらない。けっきょく人々は水道設備が完備するまでの150年近く、不便を強いられたのである。

 ではクレメンス12世は、トレヴィの泉に満足したろうか? あいにく彼は建設中に失明してしまう。しかも完成は、死後22年もたってからだった。(中野京子)

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投稿者 中野京子 2007/07/17 8:00:33 世界史レッスン | | トラックバック (1)

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 朝日新聞ブログ「ベルばらkidsぷらざ」で連載中の「世界史レッスン」第72回目の今日は、「フリーメーソンを破門し、トレヴィの泉を造った法王」を書きました。⇒ http://bbkids.cocolog-nifty.com/bbkids/2007/07/post_4232.html#more  バチカンの頂点に君臨する法王は、あくの強い強烈なキャラクターが多いが、その中ではクレメンス12世はさほど目立つとはいえない。しかし彼は史上初めてフリーメーソンを破門し、トレヴィの泉を今の形に改造したのだった。... 続きを読む

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