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2007年7月26日 (木)

天の涯から―東欧ベルばら漫談

遠距離恋愛~メールは恋の守護神となるか~

 私は初めての海外旅行で夫と知り合いました。成田発のオーストリア航空の機内で隣り合わせたのが縁の始まりです。
 外国人を間近に見たのも初めてなら、英語で話すのも初めてで、夫への初メールは翻訳ソフトの一発変換で引き出された英文をそのままコピー&ペーストして送り付けるような有様だったのですが、出会ってから1年8ヶ月目にポーランドに移住することを決め、結婚へと至ったのでした。

 私の場合、一目で「夫になる人だ」と分かった事と、彼が仕事でしばしば来日して3~4ヶ月に1度は会えた事から、割とスムーズに発展したのですが、それでも結婚という一つの決断を前に大きなトラブルは経験しましたし、感情的にメールを書き送って、「しまった」と思うこともしばしばありました。

 やはり遠距離状態で相手の状況が把握しにくいと、不安や猜疑心を生みますし、一緒にお茶を飲んだり、映画を観たりという共有体験が乏しいと、相手に対する印象も薄れ、メールと電話だけのやり取りに飽きや疲れも出てきます。
 そうした障害を乗り越えて絆を深めようと思ったら、お互いに忍耐強く自制心を持って、さらに明るく話題を豊富に、などいろいろ心がけないと長続きしません。
 「キミが好き」とか「淋しい、会いたい」なんて会話が可愛く感じられるのは最初の数ヶ月だけで、ときめきが去った後も人を惹きつけるのは、やはり人間としての中身であると痛感します。

 そうした体験を踏まえて、5年前に国際恋愛をテーマにしたメルマガを発行した事があるのですが、発行中は読者から毎日のように国際恋愛(特に遠距離)に関する悩み相談のメールをいただき、今時の女の子の恋愛模様に老婆心を刺激されたものでした。

 悩める女の子の多くは孤独を嫌い、傷つくことを恐れ、相手を失うまいとするあまり、メールや電話にしがみついて、せっかく芽生えた恋を台無しにしてしまうのです。
 今は相手が地球の裏側にいても、メールやIP電話を使えば安価で手軽に連絡が取れますし、近頃は動画チャットも普及して、相手の顔を見ながらお喋りすることも可能です。これだけ恋のお助けツールが揃っていれば、遠距離など物ともせず――と思いきや、実際にはそのツールに振り回されて、間延びする遠距離恋愛に疲労困憊している女の子がたくさんいるのです。

 本来、豊かなコミュニケーションを手助けするはずのメールや電話が、皮肉にも、すぐにレスポンスがないと「愛されていない」と不安になるような新たなストレスを作り出しているんですね。

 「ベルばら」の時代はメールも電話もありませんでしたし、相手が一国の王妃ともなれば、うかつに私信も出せない状態でした。
 そんな中、マリーとの恋がスキャンダルになり、彼女の名誉を傷つけることを恐れたフェルゼンは、ラ・ファイエット候の副官としてアメリカ独立戦争に参加することを決意します。「身をひき、数千マイルの距離をおくこと以外に、わたしにはあの方にしてあげられることが……ない!」 と。
 そうしてフェルゼンが去ってしまうと、宮廷の貴族たちは、「ふたりの間はなんでもなかったみたいね」 と噂し合い、卑劣な中傷も影をひそめます。フェルゼンはまさに命を懸けて愛する女性の立場を守ったのです。

 一方、マリーも、フェルゼンとは度々遠く隔たりながらも、命果てるまでその愛を貫きました。
 たとえば、ヴァレンヌ逃亡事件の後、マリーは厳しい監視下で、愛するフェルゼンの行方を知ることもできず、途中で紛失された為にフェルゼンからの手紙を見ることもできず、半年もの空白をじっと耐え忍んでいます。その間、マリーは嘆きもせず、疑いもせず、ひたすらその無事を祈りながら、彼の誠実を信じ続けました。

 愛すればこそ、相手の幸せの為にあえて距離を置くことも厭わないフェルゼン。遠く隔たれていようと、ひたすら彼の愛と誠実を信じて、孤独に耐えたマリー。
 二人はどれほど淋しく不安な時も、常に相手の立場を思いやり、感情に押し流されることなく、雪の下の花のように深く、静かに愛を育みました。

 メールも電話もなかった時代の恋人達の方が、ツールの発達した現代よりも、人を信じて待つ気持ちはずっと強かったかもしれません。
 恋する乙女から忍耐力を奪い、結果を急ごうとする今時のメール恋愛を見ていると、フェルゼンとマリーの恋に学ぶ所は多いと思うこの頃です。(優月まり

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投稿者 ベルばらKidsぷらざスタッフ  2007/07/26 11:00:00 天の涯から―東欧ベルばら漫談 | | トラックバック (0)

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