2013年2月末をもってブログの更新を終了いたしました。 ⇒詳しく
e-book Japan ベルサイユのばら

0228delete -->

« 妻側同居という結婚~ジェローデルは理想の夫 | トップページ | 結核は王族の病気?♪おたより »

2007年9月14日 (金)

神々のプロフィール―ばらに宿った神話―

偉大なるばあや&じいや列伝

 かなり昔ですが…。大学の講義中に先生が
「うちの“ばあや”が…」
と発言し、筆者を含めた(当時の)女子大生たちが、「え?“ばあや”!?なにそれー!!」 とざわめき、その“おぼっちゃま”先生が
「なんだよぅ!うちにはいたんだもん!いいだろう!」
と顔を真っ赤にして怒鳴ったという微笑ましい(?)思い出がある。つまり、それくらい現代の一般人にとって“ばあや”という存在はまずもって馴染みがないと思う。

しかし、「ベルばら」に登場する貴族たちの家庭では、実の親が子育てをすることのほうが少ない。たいてい、じいやばあやがいる。
オーストリア皇女のアントワネットの母親マリア・テレジアは超多忙な女帝、しかも生まれてすぐに亡くなった子も数えると16人もの子供がいたのだから、アントワネットひとりにかまけている暇もなく、当然多くの養育係がいただろう。
アントワネット自身は母親ほど多産ではなかったが、彼女の子供たちも、ポリニャック夫人ら多くの養育係に育てられている。

アントワネットの恋人フェルゼンにも“じい”がいる。囚われたアントワネットの元へ向かうというフェルゼンを彼は「いやでございます!どきませぬ」 と止めるという場面がある。

そして、オスカルの“ばあや”、Kidsでも大活躍の、小さくて元気なアンドレのおばあちゃんのことは言うまでもないだろう。このばあやがいなければ、アンドレとの縁もなかったのである。

ギリシャ神話でも育ての親の存在は大きい。神話に名を残す英雄たちは、波乱万丈の幼少期をおくることが多く、その過程で育ての親が必要になるパターンが多い。
そして、誰が誰を育てたかをたどっていくと、意外なつながりを発見できる。

ケイロン―ギリシャ神話の“キングオブじいや”とは、彼のこと。上半身が人間で、下半身が馬であり、粗暴で色好みとされているケンタウロス族の一員だが、彼自身は賢者とうたわれるほど賢く、最高の教育者と名高い。ケイロンはその能力を買われて多くの半神たちを育てたが、有名なのはメディアの夫で、アルゴナウタイの英雄イアソンや、トロイア戦争の英雄アキレウスである。
ケイロンは死後「いて座」になったとされるほどの弓の名手で、自分の背に少年のアキレウスを乗せて弓を教えている絵もあるくらいだ。アキレウスのあまりにも早い死を思うと、胸の痛むような光景でもあるが。

テティス―アキレウスは海の女神テティスの子なので、彼女は実の子を養育しなかったわけである。しかしテティスは、実母ヘラから疎まれ、生まれてすぐに捨てられた鍛冶の神ヘパイストスを拾って育てている。ヘパイストスはその恩を忘れず、テティスに請われてアキレウスの武具も作ってあげるのだが、アキレウスのために奔走する大好きな養母には、実母からの愛を知らない彼にしてみると、ちょっと切ない思いだったのではないかなあと想像させられる。

ヘラ―神々の女王で、ゼウスの正妻である女神は、自分のプライドのためなら、愛人とその子供をいじめ倒し、実の子供であっても気に入らないなら捨てることも厭わないという、とても怖い性格。実はそんなヘラも他人の子供を育てた経験がある。
一説によると、なんとテティス。そしてさらにあの最も著名な英雄、継子であるヘラクレスだという。
ヘラとヘラクレスの関係といえば、育ての親どころか、彼の母親のアルクメネ共々執拗にいじめ、苦難の道を歩ませたという印象が強いと思うが、実はそれには後日談がある。

12の功業を果たしその名を不滅のものとしたヘラクレスは、死後、その功績を称えられ、オリュンポスで本当の神として生まれ変わる。
その際、彼の乳母を勤めたのがヘラであった。それだけではなく、成長した若い神ヘラクレスに、なんとヘラの分身といってもいい娘神ヘベを花嫁として与えた。
まさに“かわいい子には旅をさせろ”。そもそもヘラの与えた受難、“いじめ”こそが、ヘラクレスに偉業を達成させ、神にまで押し上げたともいえるかもしれない。

「かわいがることだけが、育てることではないのよ」
というのが、かの女神の見解ならば、なかなかどうしてこれはこれで凄腕の“ばあや”っぷりではないか。
「子供を甘やかしすぎる」といわれる現代日本では、実は一番見習うべきなのかもしれない?(米倉敦子

《参考文献》
「ギリシアの神話 神々の時代」カール・ケレーニイ著 植田兼義訳 中公文庫
「ギリシアの神話 英雄の時代」カール・ケレーニイ著 植田兼義訳 中公文庫

お便り募集このコラムをお読みになった皆さんの感想や質問をお待ちしています。 ⇒こちらの「ベルばらKids専用フォーム」からどうぞ。

投稿者 ベルばらKidsぷらざスタッフ  2007/09/14 11:00:00 神々のプロフィール―ばらに宿った神話― | | トラックバック (0)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/165303/16423532

この記事へのトラックバック一覧です: 偉大なるばあや&じいや列伝: