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2007年9月25日 (火)

世界史レッスン

ゾウも運命に翻弄される 1728年

  ~アントワネット誕生27年前~

 コッポラ監督の映画『マリー・アントワネット』には、なかなか世継ぎの生まれないのを心配したアントワネットの兄ヨーゼフがヴェルサイユを訪問し、動物園のゾウを見物しながら(ヴィーンでもゾウは飼育されていたから、ヨーゼフにとっては大して珍しくなかっただろう)、ルイ16世と男同士の微妙な会話をかわすシーンが出てきた。

 このヴェルサイユのゾウだが、どうやら気の毒な運命をたどったらしい。

 革命から3年近くたった政治的混乱のなか、パリで食料が急騰(きゅうとう)し、市民が飢餓(きが)状態におちいったときのこと。食べものがないので犬猫は襲われ、しまいには動物園まで標的となって、ゾウも飢えた市民の胃袋におさまったと言われているのだ。

 翻(ひるがえ)って、日本に来たゾウはどうだったか?

 徳川吉宗の命により、ベトナムから牡(オス)雌(メス)2頭のゾウが長崎に運ばれてこられたのは、1728年。雌のほうは着いてまもなく衰弱死してしまったが、牡ゾウは京都で公家(くげ)たちにお披露目されたあと、江戸へ送られた。

 このゾウ君は7歳の子どもで、まだ牛2頭分ほどの大きさしかなかった。それでも途中暴れたら大変だというので、ご機嫌ななめとみるや、すぐ饅頭(まんじゅう)を与えて(1日100個!)だましだまし歩かせたという。その甲斐あって、無事、江戸へ到着。本丸大広間前の庭で、水飲みなどの芸(?)によって吉宗たちを喜ばせた。

 江戸が開府して100年という太平の世に、しかも九州から関東までの長い道中おおぜいの見物人の目に触れたとあって、日本中がゾウ・フィーバーに湧いたのも当然だ。人気にあやかり、『象志』『霊象貢珍記』『三獣演談』などといった絵草紙が出版され、ゾウ柄模様も流行した。

 ゾウはしばらく浜離宮で飼育されていたが、どんどん成長して巨大化、幕府の手に余るようになって、早くも翌年には民間へ払い下げとあいなった。こうして府外の多摩郡へ移されたゾウは、20歳で病死するまでそこで暮らしした。

 ゾウの20歳は若死にだが、異国の大型動物をこれほど長く飼育したのは当時としては立派なものだろう。ヴェルサイユのゾウに比べて、ラッキーだったといえるのではないだろうか。(中野京子)

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投稿者 中野京子 2007/09/25 8:13:38 世界史レッスン | | トラックバック (1)

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 朝日新聞ブログ「ベルばらkidsぷらざ」で連載中の「世界史レッスン」第81回目の今日は、「ゾウも運命に翻弄される」⇒ http://bbkids.cocolog-nifty.com/bbkids/2007/09/post_dc6b.html#more  フランス革命時代のヴェルサイユのゾウと、徳川吉宗時代の江戸のゾウの、明暗分けた運命について書きました。  実はこのときが初渡来というわけではなく、記録では1408年と1597年にもゾウは日本に来ていた。ただそのときは民間人の目に触れる機会はあまり... 続きを読む

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