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2007年10月26日 (金)

神々のプロフィール―ばらに宿った神話―

恋の退き際の美学―オスカルとナウシカア

 私がはじめてTVアニメ「ベルサイユのばら」を見たのは小学校3、4年生の頃だが、今思うと「ベルサイユのばら」は小学生にはかなり難しかった。
特にアントワネットフェルゼンオスカルの微妙な三角関係、これは当時の私には理解できなかった。単純にひとりの男性をめぐって、ふたりの女性がつばぜり合いを演じるような三角関係なら分かりやすいが、彼女たちがフェルゼンをめぐって争うことはなかった。アントワネットとオスカルの間には絶対的な身分の壁があったし、また同時にお互いを大事に思いあう温かい友情も通っていたからだ。
しかもアントワネットとフェルゼンの恋の一部始終を知るオスカルだからこそ分かるのだろう。決してふたりの間に入り込む余地の無いことを。

一夜だけ女性として美しく装ってフェルゼンの前に現れ、彼の腕の中で踊り、その夜の思い出を胸に恋心を振り切ったオスカル。少女たちの憧れである、美しいばかりではなく、凛々しいオスカルにふさわしい恋の退き際である。

ギリシャ神話でも清い恋の退き際で、その名を残した女性がいる。

イタケの王オデュッセウスは、海神ポセイドンからとても憎まれていた。
オデュッセウスはギリシャ軍の武将としてトロイア戦争に参加し、彼の機知のおかげもあってギリシャ軍が勝利を収めた。しかし、故郷を目指す彼のいかだは、ポセイドンにより難破させられる。そのとき、オデュッセウスを救ったのが、スケリエ島の王アルキノオスの娘、ナウシカア姫であった。
救い出されたときのオデュッセウスは身にまとうもの一つない有様だったが、身なりを整えると王女と父王を惚れ惚れさせるほど彼は立派な姿になった。
ナウシカアはオデュッセウスに恋し、アルキノオスも彼を婿にと望んだ。しかし、オデュッセウスにはイタケに貞淑な妻ペネロペイアがいて、かれこれ10年以上彼女を待たせていた。
「国にお帰りになっても、いつか私のことを思い出して…」
ナウシカアはオデュッセウスの気持ちを察し、万感の思いをこめてただこう言い、彼を船に乗せた。あくまで愛する人の気持ちだけを大事にし、身を退いたのだ。

しかし、実は当のオデュッセウスは、長い漂流生活の間ただ故郷の妻だけを思っていたのではなかった。地中海をさ迷う英雄オデュッセウスは、ナウシカア以前にふたりの恋人と出会っていた。

まずひとりは、キルケ。彼女は太陽神ヘリオスの娘だが、“魔女キルケ”として有名であった。キルケは恋多き女であり、飽きっぽく、短気で、残忍だ。一目惚れした人間の男を自分の住む島に連れてきては、しばらくは養いかわいがり、飽きると獣や家畜にしてしまう。またふられた場合には、強烈な仕返しをする。
オデュッセウスも大変かわいがられ、彼自身も妖艶なキルケに魅了されたが、1年後に早く故郷に帰りたい部下たちに急かされ、ようやく正気に戻り、なんとか無事に彼女のもとを去っている。

もうひとりは、その名も「覆い隠す者」という意味で、いわば“神隠し”の女神、カリュプソ。彼女はキルケのような恐ろしい魔女ではなかったが、熱烈にオデュッセウスを愛し、なんと7年間もオデュッセウスをひき止め、子供までもうけた。

オスカル自身が最後まで一線を越えなかったように、アントワネットを一途に愛したフェルゼンもまたあくまでオスカルを親友として愛した。
だが、やたらにモテモテでけっこうプレイボーイなオデュッセウスの場合、ナウシカアがこんなに潔くなかったら、どうなっていたことか…。(米倉敦子

《参考文献》
「オデュッセイア」ホメロス著 松平千秋訳 岩波文庫
「ギリシャ神話付北欧神話」山室静著 社会思想社
「ギリシアの神話」カール・ケレーニイ著 植田兼義訳 中公文庫

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投稿者 ベルばらKidsぷらざスタッフ  2007/10/26 11:00:00 神々のプロフィール―ばらに宿った神話― | | トラックバック (0)

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