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2007年11月 9日 (金)

神々のプロフィール―ばらに宿った神話―

目と目があった瞬間に…運命の友

 “一目惚れ”は恋愛に限ったものでない。相手が異性でなくても、恋などではなくても、「ああ、この人、なんかいいなあ!」 と思い、いきなり意気投合してしまう、そんな運命の“恋人”ならぬ、“友だち”が実際にたまにいるものだ。

 アントワネットオスカルの初体面シーンを思い出すと、それはまさに運命の出会いのように思える。
オーストリアから到着した愛らしい14歳の王太子妃アントワネットが馬車に乗ろうとしたときに、ふとその人に気づいた。自分とちょうど同じ年頃の近衛兵。輝くような金髪で凛としたたずまいの美少年だ。アントワネットは思わずノアイユ伯夫人に、その人のことを尋ねる。夫人は「“彼女”はオスカル・フランソワ・ド・ジャルジェ」 と答える。女性であったことに驚きながらも、オスカルのことを忘れられなかったアントワネットは、宮廷で真っ先に彼女に声をかけた。
 一方、はじめはアントワネットが国王ルイ15世の寵妃デュ・バリー夫人と争うのを、冷ややかに見ていたオスカルだが、デュ・バリー夫人に敗れて「フランス宮廷は堕落しました」 と涙を流すアントワネットの誇り高さにオスカルは心を打たれる。

 ギリシャ神話でも、他人には理解しがたいようなとても不思議な“運命の友だち”同士のエピソードがある。
 イクシオンの息子ペイリトオスは、ハンサムだが少々やんちゃのすぎる若者だった。彼はアテナイの王で名高いテセウスが、はたして評判どおりなのか、試してやろうと思い立った。ペイリトオスはテセウスの牛を何頭か盗み出し、追跡してきた彼の前にわざと姿を見せた。犯罪者と被害者の立場であるふたりなのに、どういうわけか、一目で互いにすっかり気に入ってしまい、あっという間にうちとけて、それ以来無二の親友となった。

 賢明なテセウスを親友にもっても、神をも恐れぬペイリトオスの向う見ずは相変わらずだった。テセウスは常にそんなペイリトオスを手厚くフォローしている。
 ペイリトオスの結婚式で粗暴な怪物ケンタウロスが酔っ払い、花嫁をはじめ、女性たちに襲いかかったときは、テセウスはペイリトオスに加勢して、ケンタウロスを討ち果たした。
 そうして結婚した妻だが、不幸なことに若死にしてしまった。ペイリトオスは新しい妻に、なんと神の王ゼウスの娘にして、冥界の王ハデスの妃ペルセフォネを手に入れようと決意した。よせばいいのに、テセウスはこのときですら親友の傍らを離れなかった。

 しかし、こちらはケンタウロスなどとはわけが違う。ゼウスの兄でもある偉大な神の、ましてや彼の治める冥界で、人間ごときがなにをできるだろう。最も暗い神ハデスは、温和そうな様子で彼らに椅子をすすめた。しかし、腰を下ろしたふたりは二度と立ち上がれなくなってしまう。この椅子は「忘却の椅子」といって、座った者の全ての記憶を奪い、二度と動けなくする恐るべき呪いの椅子だったのだ。

 最終的にアントワネットのもとからオスカルが去っていったように、テセウスは盟友ペイリトオスの隣を去っていく。
冥界の椅子に2人が座ってから数年の後、テセウスの従兄弟にあたるヘラクレスがテセウスを救いだしたが、妃を奪おうとしたペイリトオスのことをハデスは許さなかったのだ。自分だけ椅子から立ち上がり、動けないまま椅子に腰を下ろし続ける親友を見たとき、テセウスはどんな思いだっただろう。(米倉敦子

《参考文献》
「ギリシア神話」 エディス・ハミルトン著 山室静・田代彩子共訳 偕成社
「ギリシアの神話」 カール・ケレーニイ著 植田兼義訳 中公文庫

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投稿者 ベルばらKidsぷらざスタッフ  2007/11/09 11:00:00 神々のプロフィール―ばらに宿った神話― | | トラックバック (0)

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