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2007年11月23日 (金)

神々のプロフィール―ばらに宿った神話―

断固結婚拒否! ダナイデスとオスカル

 求婚者ジェローデルオスカルが“お断り”する様は、父親への反発もあってだろうが「何もそこまでしなくても…」というくらい強烈なものがある。

 ジャルジェ将軍が仕組んだ「オスカル争奪求婚パーティー」では、オスカルは男装で現れる。そしてジェローデルを始めとする並み居る紳士方に目もくれず、淑女たちのダンスのお相手をするばかりか、甘いささやきにキスまでサービス。女性陣を夢見心地にさせて、男性陣をがっくりさせる。
男装してはいるが、男性と間違われることにはショックを受けるオスカルなのに、自ら男性を演じてでも拒否したのだ。それほどまでにオスカルは、結婚話に反発を覚えたのだろう。

 ギリシャ神話の人間たちの物語のなかにも、ここまでするかという強烈な結婚拒否がある。

 アラビアとリビアを支配していた王ベロスは、ふたりの息子に国をふたつに分かち与えた。すなわち、アラビアにあたる東半分をアイギュプトスに、リビアにあたる西半分をダナオスに。
 ベロスにしてみれば平等にしたつもりだが、息子たちはそんなに物分りがいいわけではなかった。
 リビアの支配権をねらうアイギュプトスの頭には、やがて名案が浮かんだ。政略結婚によって、ダナオスの領土を吸収合併するという作戦である。アイギュプトスには50人の息子がいたが、都合がいいことに、ダナオスの方にも50人の娘がいたのだ。

 しかし、ダナオスがこの申し出を快く思うわけもないし、それ以外にもこの求婚には困難な理由があった。
 ダナオスの娘たち、ダナイデスと呼ばれるこの乙女たちは普通の娘ではない。いわく、声は女のようにか細くはなく、むしろ野太く、森で狩りをするので非常にたくましく、趣味は50人姉妹総出での戦車競争の練習。求婚するには、命をかける必要があるだろう。

一致団結して父親を崇めていたダナイデスは、むろんアイギュプトスの息子たちを断固拒否。自分たちで50人漕ぎの船をこしらえ、父親を乗せてイナコス河の岸辺の国、アルゴスへと一時撤退したものの、完全にケンカ腰であることは間違いない。
しかしアイギュプトスの方は、撤退するダナオスの弱腰に、「押せばなんとかなる!」という実感をもったのかもしれない。彼は50人の息子を率いて、アルゴスまでダナオスとその50人娘を追いかけ、ついに強引に50人対50人の結婚式をあげさせた。
「いくら男まさりでも、しょせんは女よのう。イヤヨ、イヤヨもなんとやらじゃ」 とばかりにアイギュプトスは大いに満足して、凱歌をあげたことだろう。

だが、最後に笑ったのはダナオスと、男以上に骨太すぎるその娘たちだった。
翌朝、初夜の床はただ一つを除いて、花婿の血で赤く染められた。ダナイデスにとって眠りこけた夫の首をはねることなど、造作もないことであった。父の命令を守った49人の娘たちは、自ら狩り取った夫の首を次々と湖へと投げ捨てた。
それ以来、その湖では恨めしげな若者の首が、水面に浮かび上がるようになったという。

ただ、狩られた首は49である。たった一人の娘だけは、父の命令に従わずに、花婿を殺さなかったのだ。花婿の一人だけは心から娘に愛を示し、彼女もそんな彼に愛を覚え、命を救ったのである。

ジェローデルも決してジャルジェ将軍の同意を笠に着ていたわけではなく、オスカルを心から愛し、熱心にくどいていた。アンドレがいなければ、ジェローデルがオスカルを妻と呼ぶことも、大いにありうることだったかもしれない。(米倉敦子

参考文献
「ギリシアの神話」 カール・ケレーニイ著 植田兼義訳 中公文庫
「ギリシア神話」 アポロドーロス著 高津春繁訳 岩波文庫

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投稿者 ベルばらKidsぷらざスタッフ  2007/11/23 11:00:00 神々のプロフィール―ばらに宿った神話― | | トラックバック (0)

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