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2008年3月28日 (金)

神々のプロフィール―ばらに宿った神話―

嫉妬の炎が燃え上がる時 パシパエとロザリー

ギリシャ神話の神々の女王ヘラは婚姻を司る女神だが、実は“嫉妬”を司っているのでは…と誤解されているかもしれない。その責任は彼女の夫である神々の王者ゼウスの度重なる浮気が原因だが、確かにそう思いたくなるほど彼女の嫉妬は強烈である。そのため、一般的にこの女神はいい印象をもたれていない。

確かに、嫉妬は怖ろしく、そして醜い。
ローマの詩人オウィディウスの『変身物語』で、擬人化された「嫉妬」はこんな風に表現されている。

「嫉妬」はどす黒い血膿で汚れた家に住んでいて、そこは常に暗黒にとざされている。彼女の主食は毒蛇の肉。顔は蒼白で、全身はやせさらばえている。どこを見るにも、横目づかいで、歯は、歯垢で鉛色をしている。人の悲しみを見たとき以外は笑わない。他人の成功を見るのが不快で、それを見ることによってやせ衰えて行く。

まさに身の毛もよだつ化け物。こんなものに取りつかれたなら、確かに女神だって評判を落とすだろう。だが、嫉妬はヘラだけの専売特許ではない。ギリシャ神話ではこの嫉妬に狂わされるエピソードは枚挙にいとまがない。その中でも、特にミノス王の妃であるパシパエの嫉妬は、インパクト大だ。

王妃パシパエは、不倫の恋に落ちた。それだけならギリシャ神話ならばめずらしくもないが、問題なのは、彼女の思い人(?)は立派なとても美しい牡牛だったことだ。

パシパエは神罰によって牛に恋をさせられていたのだが、当の本人は真剣そのものだった。自分が人間であることを悲しむパシパエは、雌牛たちに強烈な嫉妬心を抱いた。雌牛たちが自分の最愛の牡牛に色目を使い、自分がきれいだとうぬぼれていると勝手に怒りを募らせる。そして哀れな雌牛に曲がったくびきをかけて畑を耕させ苛めてみる。それだけでは気がすまないので、祭事をでっちあげて生け贄として恋敵を惨殺し、その内臓を手でつかみ、残酷な喜びに浸るパシパエは言う。「さあ、私のいい人に媚びてごらん」 と。

かくも嫉妬は怖ろしく、醜く、時として悲しいほどに滑稽なのだ。

ベルサイユのばら』でも、様々な嫉妬の感情が見られる。
アンドレオスカルに愛されるフェルゼンに、オスカルに堂々とプロポーズができるジェローデルに嫉妬した。オスカルにしたって、フェルゼンとアントワネットのことでは複雑な感情があった。フェルゼンだって常にアントワネットの傍らにいたかっただろう。
そして一見天使のようなロザリーですら、オスカルを慕うあまり、嫉妬の感情が心の中に渦巻き、苦しんだ。外伝「黒衣の伯爵夫人」では、自分の欲望に忠実な、ジャンヌともいえるカロリーヌと対峙してロザリーは思い悩む。 「憎しみもねたみも欲望も…この胸にいやらしいくらいどろどろとまざりあってて、ものおじしないでオスカルさまに近づけるあなたがどんなにかねたましくて…」。

とはいうものの、嫉妬も物語にはかけがえの無いエッセンスだ。これがあると、お話は、俄然面白みが増す。
しかし、現実にはロザリーのようにどこかで踏み止まらなくては、自分にとっても周囲にとっても大変なことになってしまう。そう、雌牛に嫉妬したパシパエのように。(米倉敦子

《参考文献》
「変身物語」 オウィディウス作 中村喜也訳 岩波文庫
「恋の技法」 オウィディウス作 樋口勝彦訳 平凡社ライブラリー

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投稿者 ベルばらKidsぷらざスタッフ  2008/03/28 11:00:00 神々のプロフィール―ばらに宿った神話― | | トラックバック (0)

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