世界史レッスン
ジェシー・ジェイムスVSピンカートン社 1875年
~アントワネット没後82年~
ピンカートン私立探偵社が北部の大企業と結びついていたことは、先週書いた。当時はまだFBIがなかったので、一私企業の探偵社が警察活動の一端を担い、犯罪者を捕まえていたのだ。
国内で南北にわかれ戦争したばかりという、物騒な時代である。敗(ま)けた南部のゲリラたちは、多くアウトローとなって、北部の銀行を襲ったり列車強盗をくり返したが、南北の州境は侵すべからずというのが不文律だったから、それを越えさえすればまんまと逃げおおせることができた(たとえて言えば、東京で強盗しても一歩神奈川県へ入ればもう大丈夫というようなもの)。おまけに北部を荒らしたギャングたちは、南部では英雄視された。
そんな無法者の代表がジェシー・ジェイムスで、ピンカートン社の探偵たちは果敢に州境を越えて彼を追った。しかし当然ながら南部はジェシーの味方で、次々3人の探偵たちが殺されてしまう。
ついに1875年、探偵社側はジェシーが実家に立ち寄っているとの情報を得、手荒な復讐を企てる。彼を外へおびき出そうと、火をつけた鉄製ボールを家へ投げ入れたのだ。ところがジェシーの母親がびっくりしてそれを暖炉に投じたものだから(信じがたい行動だ)、爆発、彼女は片腕切断、ジェシーの幼い異父弟は即死した。しかもこのときジェシーは別の場所にいたことまで判明。
ピンカートン社のこのやり口は南部の怒りを買い、ジェシー・ジェイムスは――彼もおおぜい無辜(むこ)の人を殺しているにもかかわらず――ますます人気者になっていった。
とはいえアウトローの最期は無惨である。この事件の7年後、彼は仲間のひとりに背後から頭を撃たれ、34歳で死ぬ。州政府による多額の報奨金目当てだったと言われている。
現在公開中の映画『ジェシー・ジェイムズの暗殺』(アンドリュー・ドミニク監督)では、ブラッド・ピッドがジェシーを演じている。実物の写真を見た限りでは、ブラピほどハンサムではなかったようだが・・・(中野京子)
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投稿者 中野京子 2008/03/04 7:46:43 世界史レッスン | Permalink | トラックバック (1)
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