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e-book Japan ベルサイユのばら

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2008年5月30日 (金)

アニばら不思議発見

ヘアモードについて

~ベルサイユ宮殿に登場する髪形の実態を考えるお話~

アニメ版「ベルサイユのばら」で、以前から気になっていたことがひとつある。ベルサイユ宮殿には、実に様々な髪形をした紳士淑女が登場し、ヘアスタイルが同じなのは、ルイ15世の3人娘くらいではないかと思うほどなのだが、自分の毛髪で結っているのは誰で、かつらをかぶっているのは誰なのだろう…?

こんなたちの悪い疑問が浮かんだのも、この時代、貴族たちの間にたくさんの髪形が流行しては消えていき、なかでもとりわけ奇抜なスタイルが当時の風刺画として残っているので、つい頭の方に視線が集中してしまったのである。

18世紀フランスの美術・文化を代表するロココ様式は、ロカイユ(rocaille、岩の意味)に由来し、優美な曲線を多く用いた装飾様式がひとつの特徴。“ロココの薔薇”と讃えられたアントワネットの髪形にも、「巻き巻き」「くるくる」が多用され、「ベルばら」のみなさんの髪形も、このロココ様式の一端ではなかろうかと私は考える。

ロココの時代とは、ルイ15世の即位からフランス革命までの間(1715-1789年)をさすので、ベルばら時代(突然ですが、オスカルが生まれてから死ぬまでの時代区分、1755-1789年を勝手ながら“ベルばら時代”と呼ぶことといたします)は、ロココの終焉期にあたるのだが、ちょうどアントワネットが嫁いだ1770年頃、貴婦人の髪形は際限なく巨大化していった。4月6日まで上野で開かれていた「ルーヴル美術館展」でも、ほんまかいなと目を疑うような髪形の風刺画が展示されていた。

diamond「ルーヴル美術館展」出展作品より

《その1》散歩をするフランスの貴婦人

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(「ベルばらKidsが案内するルーヴル美術館展」より
© 2007 Musée du Louvre / Martine Beck-Coppola)

1組の男女が手を取って散歩している。婦人の髪は、体の半分ほどの高さにまで上り詰め、身なりの良い従僕が後から長い棒で髪形を支えている。満面の笑みでパートナーに微笑むご婦人に対し、付いていく従僕は、必死の形相…。

《その2》趣味よき女神の華やかな化粧
こちらは朝の化粧の時間に親しい男性がご機嫌伺いに来ているところ。髪は、身長と同程度の高さにまで積み上げられ、それを固定させるため、さらに巨大な貝殻のようなものでパッケージされている。顔は包装パッケージに埋もれ押しつぶされているというのに、ご婦人は辛そうなそぶりも見せない。

アントワネットには、レオナールというお抱えの髪結師がいて、彼はローズ・ベルタンと組んで新しい髪形を次々と考案した。巨大な髪形はアントワネットも好んだらしく、ソフィア・コッポラの映画でも、顔1つ分くらいの高さにまで髪を巻きあげていていた。

それにしても、こんな巨大な髪形では生活するにも一苦労だったに違いない。そこで、巨大な髪形に対する疑問点をいくつかあげてみた。回答のいくつかは、メルシエの「18世紀パリ生活誌」にも書かれていたのであげておく(『』部分は「18世紀パリ生活誌」からの引用)。

○馬車に乗る時に頭がつかえないのか?
 実際、馬車に乗れなかったのではなかろーか。頭が入らないので、イスをはずして馬車の底に直接座りこんでいる貴婦人の風刺画も残っているし、アントワネットは、髪形に合わせて馬車の天井を高く改造させたといわれる。

○巨大な髪形の中身はどのようなっていたのか?
 これに関しては、「18世紀パリ生活誌」に詳しい記述がある。

 『髪形の中には、馬のたてがみでふくらませた、巨大なクッションと、長さ7~8プース(注.約19~22センチ)の長いピンの森が入っており、そのピンの鋭い尖端が皮膚の上にのっている。多量の髪粉とポマードは、その成分の中に香料を含んでいるので、それが刺激性を帯び、たちまち神経をいらだたせることになる…』。

 おまけに、付け毛は死人の毛で、『ひょっとしたらおぞましい病気に侵されていた人物の残骸かもしれない』という。

○髪形は、一度つくるとどのくらいそのままなのか
 一度セットすると2、3週間はそのままなので、しらみにも悩まされた。

 『眼病や、しらみ症や、有毛頭皮の炎症は、奇妙な髪形に対する度外れの愛着から生ずる』

 『そこで、字消しナイフ(紙を削って字を消すためのナイフ)を使って、そのひどいかゆみを鎮めるのである』。

 こうなると、貴族というものは、贅沢なのか耐え忍ぶ人種なのかよくわからない。

○寝るときは?
 『睡眠中は、かつらや、ピンや、あの奇妙な着色物(注.詳細不明)を、三重の帯でさらに締めつける。こんなふうにして包装された頭は、三倍の大きさになり、枕の上に輝くのである』。

 これではうっかり寝返りしただけで流血しそうだ。江戸時代の髷にしても、寝るときはどうしていたのだろう。首のところに枕をおいて髪がつぶれないようにしたのかもしれない。時代劇にでてくる枕が高いのは、髷をつぶさないためではなかろーかと思う。

こうなってくると、どうやら「アニばら」の貴婦人たちも、自分の髪の毛を使いながら、クッションをいれたりつけ毛をつけたりしていたようである。

「貴族なんて本当にいや…!わけのわからない髪形に、ぎりぎりとしめつけられて生きるなんて…」と抵抗していたかもしれないロザリーも、貴婦人になるためには髪形をボリュームアップしなければならなかったのだ。

一方、男性は、かつらを着用することが身だしなみとされていた。ジャルジェ将軍やド・ゲメネ公爵が一生懸命カーラーを巻いたり、ジェローデルがウェーブパーマをかけに行ったりしてくれたほうが楽しいのが、残念ながらかつらの可能性が高いようだ。!(智里chisato

diamondおまけコーナー:智里の「アニばら」髪形分析diamond
cute完全自毛によるナチュラルビューティー派
オスカル(毎朝苦労して自分でセットしているそう)、アンドレ、アラン、ベルナール、ジャンヌ(第21話『黒ばらは夜ひらく』では自分で髪の毛を梳かしています!)、その他衛兵隊のみなさん、パリ在住のみなさん

cute世界にただひとつの特注かつらを使用
フェルゼン、ジェローデル、ド・ゲメネ公爵、オルレアン公、サン・ジュスト

cute当時のノーマルなかつらを使用
ルイ16世、ジャルジェ将軍、ロベスピエール

cute髪型でロココの流行を生み出す
 アントワネット

cuteつけ毛やクッションで豪華な髪型にセット
 デュ・バリー夫人、ポリニャック伯夫人、ロザリー、シャルロット

参考文献
メルシェ著「十八世紀パリ生活誌」岩波書店
別冊歴史読本「マリー・アントワネットとヴェルサイユ」新人物往来社
「永遠のベルサイユのばら」JTBパブリッシング
「ベルばらKidsが案内するフランス宮廷の美」朝日新聞社

art「ルーヴル美術館展 宮廷の美」
神戸市立博物館で7月6日まで開催中
公式サイトへ

tvTVアニメ「ベルサイユのばら」
現在、DVDで入手可能です。
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投稿者 ベルばらKidsぷらざスタッフ  2008/05/30 14:00:00 アニばら不思議発見 | | トラックバック (0)

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