神々のプロフィール―ばらに宿った神話―
似ているようで、実は反対? オスカルとアテナ
豊かな金髪をなびかせ、さん然と光放つ黄金の武具に身をかため、何者も恐れず雄々しく戦う女神。
まさにそれは「ベルばら」ではオスカルのイメージ、ギリシャ神話では女神アテナのイメージだ。
オスカルは自らを「軍神マルスの子」と称し、またアンドレはドレスをまとったオスカルを「アフロディテさながら」といったが、イメージとしてはやはりこのアテナが一番近いのではないかと思える。
ところが、このふたり、似ているようで実は正反対なのである。
まずは生い立ち。オスカルが生まれるとき、父親ジャルジェ将軍は、跡継ぎとなる元気な男の子の誕生を願っていた。ところが女の子であったため、大変がっかりした。そして女の子であるオスカルを男の子として育てることになる。
女神アテナの場合も、父親である神々の王ゼウスにとって彼女の性別は大問題だった。ところがゼウスはジャルジェ将軍とは反対に、男の子の誕生を望んでいなかった。なぜなら、アテナの母、最も賢い女神メティスが産む男の子は、大変勇気のある子で、長じて人間と神々の王として君臨すると予言されていたからだ。自分も父クロノスから王位を奪取したゼウスは、簒奪者(さんだつしゃ)となる息子の誕生を阻むべく、妻メティスをお腹のなかへ呑み込んでしまった。
メティスはそのときすでにアテナを身ごもっていた。結果的にアテナはゼウスのお腹に宿ってしまったため、ゼウスがお産しなければいけないのだが、いかに神々の王であっても男神であるので、どこから産むのかが問題だ。ゼウスは工芸の神ヘパイストスに、お産婆というか、介錯役(かいしゃくやく)を頼む。ヘパイストスは大胆にもゼウスの頭を両刃の斧、またはハンマーで叩き割り、アテナを誕生させた。そんなことをされて平気なのだから、さすが不死なる神だが、さらに娘アテナは天地が震え上がるようなときの声をあげて、完全武装し、鋭い投槍をふりながら父親の頭から飛び出してきたというのだから、すさまじい。男の子でなくても、充分恐るべき子なのではないかと思えるが、当のゼウスはそんな“元気なかわいい娘”を見て「女の子でよかった」とほっとしたようだ。
そして、処女性。オスカルは一度アンドレに迫られ、無理やり貞操を奪われそうになるが、最終的には相思相愛になり、幸せに結ばれる。
一方、アテナは完全無欠な処女神、と言いたいが、実は微妙だ。アテナはパルテノス(処女)とみなされているが、同時にメテル(母)とも呼びかけられている。実はアテナには子どもがいる。
“産婆”を務めたヘパイストスは、自らの腕でアテナを誕生させたとき、そのとても“元気”で美しい乙女にぞっこん惚れこんでしまった。ヘパイストスはアテナに求婚し、追いかけたが、アテナは承知せず、逃げてしまう。ヘパイストスは足が悪いにも関わらず、一途な恋心ゆえか、アテナに追いついたが、彼女の処女を奪えなかった。にもかかわらず、その際のことが原因でひとりの赤ん坊が誕生したといわれている。いずれにしても、アテナが子どもはいてもどんな男神にも恋していないことは間違いないようだ。精神的にははっきりと処女であるといえる。
おまけにいうと、仕事のスタンスもふたりは似ているようで反対だ。ふたりとも属性は軍人には違いないが、オスカルは自らの意思で体制派から脱し、アテナはオリンポス十二神で最も著名な女神であり、常に完全な体制派である。(米倉敦子)
《参考文献》
・「ギリシアの神話」 カール・ケレーニイ著 植田兼義訳 中央公論社
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投稿者 ベルばらKidsぷらざスタッフ 2008/07/11 11:00:00 神々のプロフィール―ばらに宿った神話― | Permalink | トラックバック (0)
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