2013年2月末をもってブログの更新を終了いたしました。 ⇒詳しく
e-book Japan ベルサイユのばら

0228delete -->

« 「永遠のベルサイユのばら展」に行きました♪おたより | トップページ | 今週のベルばらKidsは「水が彩るベルサイユの夏」 »

2008年8月 8日 (金)

神々のプロフィール―ばらに宿った神話―

母の面影をもとめて ベルナールとアイギュピオス

 自分の恋愛にはうとくても、他人の恋愛にはやたらと勘のいい人がたまにいる。オスカルはまさにそのタイプのようで、黒い騎士ことベルナールと、かわいいロザリーのキューピッド役をつとめたのは彼女だった。その際にオスカルはロザリーにこう言った。
 「マザー・コンプレックスのベルナール・シャトレはぜひおまえのやさしい愛が必要なのだそうだよ」
 この言葉にベルナールはいたく憤慨しているが、まさに図星で、ベルナールはロザリーに、はかなげでやさしかった「ママン」の面影を見たのだ。やはり男性にとっては、母親こそが忘れがたい最愛の恋人といえるのかもしれない。

 しかし、「マザコン」という言葉にいい印象がないように、それは度がすぎてはいけないのだ。
 ギリシャ神話には、こんな怖ろしいマザコンのエピソードがある。
 
 テッサリアー地方の辺境に、とても敬虔で心正しい好青年アイギュピオスが住んでいた。
 このアイギュピオスが、ティマンドレーという名の女性に熱烈な恋心を抱いた。ティマンドレーが未亡人であることを知ると、金ずくで彼女を手に入れた。そして、彼女の家に通いつめ、情交を重ねたのだった。
 
 アイギュピオスのこの恋は、他人からはかなり奇異に見えたに違いない。ティマンドレーにはネオプローンという息子がいた。このネオプローンはアイギュピオスと同年代の青年だった。つまり、ティマンドレーはアイギュピオスにとっては、母親くらいの年の女性なのだ。

 そして、ティマンドレーの息子ネオプローンにしてみれば、アイギュピオスの所業を許せるはずもなかった。
 ネオプローンの仕返しは強烈だった。
 ネオプローンはアイギュピオスの母親ブーリスを多大な贈り物で誘惑した。それだけではない。ブーリスを自分の家へと連れてきて、彼女をひとり残して部屋から出た。それはちょうど、アイギュピオスがティマンドレーのもとへやってくる時間だった。ところが、ネオプローンは口実をつくってティマンドレーをその時間に外出させていたから、彼女は不在だった。
 
 かくて、恋人がいるはずの部屋に、恋に狂うアイギュピオスが入っていく。そうして、暗がりの中でアイギュピオスは、恐ろしいことに、恋人だと思って母親ブーリスと交わってしまった。
 
 こうして、人の道を踏み外した二組の親子は、神々の王ゼウスによって鳥にされた。
 アイギュピオスとネオプローンは、それぞれのその名前のに。ブーリスはアオサギに。ティマンドレーはシジュウカラに。
 これらの鳥たちは、このとき以降、同じ場所に同時に現われることは一度もなかったという。
 
 アイギュピオスは、恋人と間違って母親と交わった。
 それ以上つっこんではいけないのかもしれないが……。しかし、そんなことって本当にあるだろうか? 誰よりもよく知っているだろう母親をたとえ暗がりだったとしても見間違うだろうか?
 いや、間違ったとしても、抱き合っても区別がつかないほど、年齢だけではなく外見も恋人と母親が似ていたということ?
 
 やはり……これ以上つっこんではいけない話のようだ。(米倉敦子
 
《参考文献》
「メタモルフォーシス―ギリシア変身物語集」 アントーニーヌス・リーベラーリス著  安村典子訳 講談社文芸文庫

お便り募集このコラムをお読みになった皆さんの感想や質問をお待ちしています。 ⇒こちらの「ベルばらKids専用フォーム」からどうぞ。

投稿者 ベルばらKidsぷらざスタッフ  2008/08/08 11:00:00 神々のプロフィール―ばらに宿った神話― | | トラックバック (0)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/165303/42069250

この記事へのトラックバック一覧です: 母の面影をもとめて ベルナールとアイギュピオス: