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2008年9月12日 (金)

神々のプロフィール―ばらに宿った神話―

音楽はたしなみ?―アポロンとマルシュアスの壮絶演奏バトル

ベルサイユの貴族や王族たちにとって音楽はたしなみ。
オスカルはヴァイオリンの名手だったし、Erikoさんがコラム「ベルサイユの音楽会」でも書かれているように、マリー・アントワネットはハープがお気に入り。『ベルサイユのばら』でもハープを弾く優雅な姿が見られるし、ゴーティエ=ダゴティ画の絵でも彼女はハープと一緒に描かれている。

以前このコラムで、盗賊の神ヘルメスが兄であるアポロンにハープ(竪琴)を譲ったことを書いた(「庶民に愛されたトリックスター・ヘルメス」)。アポロンのハープは、マリー・アントワネット愛用のものとは違い、小脇に抱えられるような小型のものだが、このハープにはアポロンに譲られたあとにもさらなるエピソードがある。

ある時、音楽の神アポロンにとって、聞き捨てならない噂が聞こえてきた。サテュロス(半人半獣の精霊)のマルシュアスが演奏する笛の調べは、アポロンのハープに勝るというのだ。
マルシュアスの笛は、オーボエのような二本管の木管楽器。その音色はとても美しいが、実はいわく付きの恐るべき楽器だった。
というのは、元々この笛を作ったのは女神アテナで、彼女はその音色を気に入って他の神々に披露した。しかし、演奏する際に頬が膨らんでしまうのが醜いと笑われてしまい、思わず腹立ちまぎれに笛に呪いをかけて捨てたのだ。それを拾ったのがマルシュアスだった。マルシュアスは日々熱心に笛の稽古をし、上達したのだ。

アポロンは音楽の神たるプライドを懸けてマルシュアスと演奏勝負をすることにした。
この勝負には物語によっていろいろなパターンがあるのだが、結局はマルシュアスにとってすべて理不尽な結果となる。

審判を担当したのは、文芸の女神たち、ムーサだった。彼女たちを主宰するのは当のアポロンであるため、ムーサは有無を言わさず、アポロンを勝利者に選んだというパターン。
また、ムーサははじめマルシュアスを選んだ。ところが、アポロンがハープを上下反対にして演奏してみせ、それに対しマルシュアスは同じように笛を上下反対にして演奏できなかったので、マルシュアスの負けにしてしまったパターン。
または、同じようにムーサははじめマルシュアスを選んだが、アポロンが弾き語りをして、それは笛を吹きながらでは出来るわけがないため、マルシュアスの負けになったパターン。
どっちにしても、権力をかさにきた卑怯な屁理屈としか思えないが……。

かわいそうなマルシュアス!
負けた者は勝った者を自由にしていいという事前の約束にのっとり、マルシュアスは生きたまま皮を剥がされてしまう。
しかし、マルシュアスは慕われていたようで、ムーサたちはマルシュアスのために涙を流した。彼女たちのその涙とマルシュアスの血とが交わって、今でも小アジアを流れる「マルシュアス河」になったという。

「音楽はたしなみ」どころか、ワガママでプライドの高い神々にかかると命がけの流血沙汰になってしまう。ほんとにやりすぎ!(米倉敦子

《参考文献》
・『ギリシャ神話集』 ヒューギヌス著 松田治・青山照男訳 講談社学術文庫
・『古代ギリシアがんちく図鑑』 柴崎みゆき著 バジリコ株式会社
・『マリー・アントワネット』 アントニア・フレイザー著 野中邦子訳 早川書房

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投稿者 ベルばらKidsぷらざスタッフ  2008/09/12 11:00:00 神々のプロフィール―ばらに宿った神話― | | トラックバック (0)

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