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2008年10月10日 (金)

神々のプロフィール―ばらに宿った神話―

裁かれる王妃マリー・アントワネットと軍神アレス

 来年2009年度より、日本でもついに裁判員制度が実施される。まったく裁判になど関わったことのない人が他人を裁き、もしかするとその運命を左右することになるかもしれない。
 日本では、戦前~戦中の一時期、陪審裁判が行われた時期もあったが、現在は自分が当事者でもないかぎり、裁判は専門家集団が執り行うもので一般人には遠い存在だろう。裁判員制度により「開かれた司法」を実現し、司法への信頼性を高めることを目されているということだが、他人の運命を左右するような決定なんてあえてしたくないと考えている人も実際は多いようだ。

 『ベルサイユのばら』でも、裁判により王妃マリー・アントワネットの運命は動いている。
 まずはじめは、1786年の「首飾り事件」。
 この事件は、悪女ジャンヌによる王妃の名を騙った詐欺事件だった。しかし、アントワネットはまったくの無実であったにも関わらず、彼女が望む判決を得ることができなかった。そればかりか、アントワネットは裁判によって公になったこの事件のせいで、ますます評判を落としてしまった。こうして、革命を目指す時代の流れに、さらに拍車がかかったのである。

 フランス革命勃発後、1793年には今度はアントワネット自身が被告として革命裁判に引き出された。この裁判の判決は、はなから決まっているのだが、アントワネットは自分を殺そうとしている人々を目の前にして、フランス王妃、そして母親の誇りにかけて堂々と一人戦った。

 ギリシャ神話の世界については、神々の王としてゼウスが君臨している。ならば、裁判などありえないか?
 いや、実はちゃんと裁判に関するエピソードは存在する。
 しかも、神々同士の裁判沙汰だ。
 事件の内容は、殺人。被告人は軍神アレス。被害者はハリロティオス。そして、裁判員を務めるのは、オリュンポスの神々である。
 
 たぶん、当初は被告アレスにとって極めて不利な裁判だったことだろう。なぜかというと、「首飾り事件」でのアントワネット以上に、かわいそうなくらいアレスの評判は悪いからだ。乱暴この上なく、嫌われ者で、単細胞で無能。同じく軍神である女神アテナにはやられっぱなしだし、人間にまでたびたび敗北している。このアレスなら、短気を起こして、なんの罪もないのにハリロティオスを殺害することもありうるというわけだ。しかも、ハリロティオスの父は、神としてアレスより格上のポセイドンときている。
 だが、今回ばかりはアレスのほうにも正当な言い分があった。ハリロティオスアレスの娘アルキッペを犯そうとしたのであり、正当防衛であるというのだ。アレスは革命裁判時のアントワネットと同様、自分自身を必死に弁護した。そして、アレスのほうは、自らの悪評に苦しめられながらも、なんとか無罪を勝ち取った。

 アレスが裁かれた場所であるアテナイのアクロポリス西方の小丘は、この裁判以降、アレスの丘、アレイオス・パゴスと呼ばれるようになった。アレイオス・パゴスでは、殺人などの重い罪の裁きが行なわれるようになり、有名な母殺しのオレステスもここで裁かれたという。

 やはり真実を見極め、正当に裁くということは生半可なことではない。
 だが、一方で自分が被告人や被害者になる可能性がゼロではないとすると、裁判についてなにも知らなくていいというわけではないのだろう。(米倉敦子

《参考文献》
『ギリシア・ローマ神話辞典』 高津春繁著 岩波文庫
『古代ギリシアがんちく図鑑』 芝崎みゆき著 バジリコ株式会社

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投稿者 ベルばらKidsぷらざスタッフ  2008/10/10 11:00:00 神々のプロフィール―ばらに宿った神話― | | トラックバック (0)

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