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2008年11月25日 (火)

世界史レッスン<映画篇>

こんなに愛しているのになぜ・・・ 1827年

  ~アントワネット没後34年~

 「私の心を他の女性が占めることなど絶対ありません、絶対に! ああ、神よ、こんなに愛しているのに、なぜ離れていなければならないのでしょう!」――情熱的なこのラブレターを書いたのは、何と、ベートーヴェン! ではお相手は誰?

 今なお解明されないベートーヴェンの恋人探しを描き、観客をアッと言わせた(少々無理がありすぎて)のが、『不滅の恋』(バーナード・ローズ監督、1995年公開)。

 1827年、ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェンは肝硬変のため56歳で亡くなった。ほとんど社交界とは無縁になっていたにもかかわらず、ウィーンでおこなわれた葬儀には2万人もの人々が集まり、巨匠の人気の高さを裏付けている。松明(たいまつ)をかかげた行列の中には、シューベルトも混じっていた。 

 「不滅の恋人よ」と呼びかけるこの手紙は、死の翌日、遺産管財人によって偶然発見された。株券などを収めた秘密の場所に、たいせつに保管されていたのだ。

 それにしても、不思議な恋文ではあった。ふつうなら年号が記されているべきなのに、「7月7日」と月日しか書いていない。おまけに相手の名前もどこにもなく、手がかりとなるイニシャルさえない。そもそもなぜこれが、送った相手ではなく書いた本人の手元にあったのか?

 おそらく返されたのだろう。不滅の恋人と呼びかけられた彼女は、ベートーヴェンの手紙を持っていてはまずい立場にいた、つまり身分違いの相手、高位貴族だったのかもしれない。しかも「いっしょに暮らしたくてもできない」という文面から、夫のいる身だった可能性も高い。

 実らぬ定めの恋であったのは、ベートーヴェンが生涯独身だった事実からも明らかだ。彼は人知れず懊悩(おうのう)し、秘密を抱えたまま、あの世へ旅立ってしまった。

 この映画には、バックミュージックとしてベートーヴェンのさまざまな傑作が効果的に使われているが、とりわけソナタ『月光』の演奏シーンの美しさは、ロマンティックなメロディとも相俟って忘れがたい印象を残す。 (中野京子)

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投稿者 中野京子 2008/11/25 8:29:03 世界史レッスン<映画篇> | | トラックバック (2)

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