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2008年11月14日 (金)

神々のプロフィール―ばらに宿った神話―

夫婦仲よすぎが仇に…アルキュオネとケユクスの物語

『ベルサイユのばら』では、たくさんのステキな恋人同士が登場するが、一番ステキな夫婦なのは、なんといってもオスカルの両親ジャルジェ夫妻だろう。
直情型で少々短気だけど、男らしく正義感の強い将軍と、おっとり天然系でありながら実はとても聡明な奥方

外伝『ジャルジェ将軍の息子あらわる!?』での隠し子騒動ではあわや夫婦の危機かと思いきや、揺るぎない夫婦の信頼関係を見せつけられる展開であった。「本当にあの子がわしの息子だと思ったか?」「ほほほ…まあ…!わたくしあなたを信じておりましたよ」という、ル・ルーいわく“複雑な大人の会話”も、なんとも微笑ましいラストだ。
ジャルジェ家ではこの将軍夫婦の仲睦まじさがあって、娘たちがよく育ち、一家に幸福の輪が大きく広がったのだろう。

しかしギリシャ神話では、仲が良すぎたために思わぬ不幸に見舞われてしまった気の毒な夫婦のエピソードがある。

風の神アイオロスの娘アルキュオネとテッサリアの王ケユクス。この2人は、理想的な、愛し愛されるおしどり夫婦として世に聞こえていた。世の人は2人を「神々の王ゼウスとヘラの夫婦」のようだと誉めそやした。ゼウスの浮気でいさかいばかりのゼウス夫妻を“おしどり夫婦”というのはどうも違和感があるが、アルキュオネとケユクス夫婦はそう呼ばれて気をよくし、自らお互いに「ゼウス」「ヘラ」と呼び合ったという。

ところが、これを知ったゼウスとヘラは、「我らの名をかたるとは、無礼な!」と激怒した。
神々の怒りにより、テッサリアの地は次々に災害や異変に見舞われた。王であるケユクスは、神々の怒りを静めるため、アポロンの神殿に神託を受けるべく船で旅立とうと決意した。
風の神の娘であり船旅の恐ろしさをよく知っていたアルキュオネは、ケユクスを行かせまいとした。ケユクスは「月が2度満ちるまでには帰る」と約束し、すがりつく妻をなだめ旅立ったが、嵐にあい、命を落としてしまった。

ところが、ケユクスの死を知らないアルキュオネは、ヘラの神殿に詣でては夫の無事をひたすら祈り続けていた。
哀れなアルキュオネのその姿を見たヘラはいたく同情し、できるならケユクスを生きた姿でかえしてやりたいと思った。しかし、女神であっても死者を蘇らすことはできない。
せめてもの慈悲と、ヘラは眠りの神の見せる夢の中で、ケユクスの死をアルキュオネに伝えた。
目覚めたアルキュオネの悲しみは深く、彼女はケユクスが旅立った浜辺までさまよい歩いた。そして、アルキュオネは打ち上げられた男の亡骸を見つけた。
あなた、お可哀そうに!こんな姿で、わたしのところにおもどりになったの
それは他でもない愛する夫ケユクスだったのだ。
妻の元にかえりつきたいというケユクスの一念に、海が答えたのだろうか。

この悲しい再会を哀れに思ったゼウスは、2人をかわせみの姿に変え、新しい命を与えた。
美しいヒスイ色の羽をもった夫婦は、海上の浮巣で卵をかえし、仲睦まじく離れずに暮らせるようになったという。

人の姿を失ったとはいえ、結局はアルキュオネとケユクスの夫婦愛の勝利といえるかもしれない。(米倉敦子)

《参考文献》
・『変身物語』 オウィディウス著 中村善也訳 岩波文庫
・『もう一度学びたいギリシア神話』 松村一男監修 西東社

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投稿者 ベルばらKidsぷらざスタッフ  2008/11/14 11:00:00 神々のプロフィール―ばらに宿った神話― | | トラックバック (0)

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