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2009年1月23日 (金)

神々のプロフィール―ばらに宿った神話―

“食欲”という名の悪魔

 現代の日本で、一度も「ダイエット中なの」と言ったことがない女性は断然少数派だろう。ちまたでは常に最新のダイエット法が話題となり、時には納豆が、時にはバナナが“奇跡のダイエット食材”として急に人気者になる。
 できれば、楽して痩せたい、つまり食の楽しみを十分味わいつつ痩せたいと誰しも願う。だが、実際は必要以上のカロリーを取るからこそ太るわけで、やはり食べ過ぎないのがダイエットには大事なことだろう。それは分かっているけれど…。“食欲”は、人を強烈な魅力で誘惑してくる怖ろしい悪魔だ。

 ギリシャ神話では、豊穣をもたらす女神デメテルは常に感謝され、崇められ、人々から欲される女神だ。と思いきや、意外にもそれだけではない。

 テッサリア王の子エリュシクトンは、元々神威をないがしろにする悪しき男だった。
あるとき彼は、女神デメテルの神木である樫の木をそれと知った上で打ち倒した。この不敬な男は樹皮から血が流れだしたのに驚き、その悪行を止めようとした人間の首までも切り落としてしまった。

 豊穣の女神は、自分がもたらす恩恵と相対する報いをエリュシクトンに与えた。それは、永遠の飢餓だった。
 エリュシクトンに吹き込まれた恐るべき飢餓は、とどまるところを知らず、国中の食料をもってしても満たされることはない。それどころか、食べれば食べるほどさらに強烈な空腹に苛まれるのだ。

 エリュシクトンは全財産を食べつくし、手元には娘ひとりだけが残った。そして、その娘も食料に変えるべく、奴隷として売りとばしてしまった。
 娘はかつて海の神ポセイドンに愛されたことがあったので、海にむかって助けを求めた。すると娘の姿は男性に代わり、彼女は父親の元に逃げ延びることができた。ところが、娘が自由に女から男、男から女へと変身する能力を身につけたことを知るとエリュシクトンは、このことを利用して、何度も娘を奴隷として売り払った。
 こうして、おさまることのない異常な食欲を満たそうとしたが、この病は癒えることはなかった。ついにエリュシクトンは自分の体を食らい死んでしまった。

 『ベルサイユのばら』に登場するルイ16世は、大食漢で、かなりぽっちゃりさんだ。
 アントニア・フレイザーの『マリー・アントワネット』によると、ブルボン王家も彼の母親の家系もダブルで肥満の家系であり、弟のプロヴァンス伯、妹のクロチルド王女もかなり太っていたようだ。しかも庶民と違って十二分に食べられる環境にあるのだからいたしかたないだろう。
 しかし、妻のマリー・アントワネットは小食だった。美しくスリムな妻に比べて、太っていることは彼のコンプレックスの一つだったようだし、食生活の好みを共有できたなら、二人の仲はもっとスムーズだったかもしれない。
 それが分かっていても、なんともいかんともし難いのが食欲というものなのだが。(米倉敦子

《参考文献》
『変身物語』 オウィディウス作 中村善也訳 岩波書店
『ギリシア・ローマ神話辞典』 高津春繁著 岩波文庫
『マリー・アントワネット』 アントニア・フレイザー作 野中邦子訳 ハヤカワ文庫

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投稿者 ベルばらKidsぷらざスタッフ  2009/01/23 11:00:00 神々のプロフィール―ばらに宿った神話― | | トラックバック (1)

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