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2009年1月 8日 (木)

ロココの衣装小部屋

野生のばら ローズ・ベルタン

新年を迎え、ここベルサイユでも美しく着飾った貴婦人たちや、エスコートする貴族の殿方で賑わい、宮殿内は、それはそれは華やいで麗しいことでございます。
なかでも王妃マリー・アントワネット様は、今を盛りと咲き誇る薔薇のように輝くばかりの美しさ。この花のような王妃様のお召し物が、私の手によるものだと思うと、なにやら誇らしく、驚きを禁じ得ません。

私が誰かって?私の名はローズ・ベルタン。本名はマリー・ジャンヌ・ローラン。マリー・アントワネット様の専属デザイナーを務めております。デザイナーとして、初めて歴史に名を残したことでも後世に知られております。
私は1747年、北フランス、オーヴィル近郊のピカーという町に下級軍人の娘として生まれ、1759年、パジェル女史の仕立て屋「トレ・ガラン」で奉公するため、12歳でパリへと参りました。
そこで見習いとして働くうちにコンティ大公妃殿下に見出され、1772年よりアントワネット様の衣装のご注文を受けるようになったのでございます。1773年には「オ・グラン・モゴール」という自分の店を持ち、1776年にはモード商人組合の理事に選ばれるまでになりました。

当時は、男性ならクチュリエ、女性ならクチュリエールと呼ばれる婦人服の仕立て屋と、タイユールと呼ばれる紳士服の仕立て屋がおりまして、私たちモード商人はマルシャンド・ド・モードと呼ばれておりました。私はアントワネット様がご注文されるものを仕立てるだけでなく、自分自身でアイディアを出し、ドレスや小物をデザインすることで、特別なご寵愛を受けることになったのです。

ベルサイユには様々なしきたりがあり、アントワネット様の身支度の儀式も毎日、しきたりに従って進められておりました。
宮廷第一女官(マダム・ドヌール)は、王妃様に手洗い用の水を注ぎ、第一侍女からシュミーズを受け取り、王妃様に着せます。第一私室係(マダム・アトゥール)は、ペチコートを穿かせてローブを手渡す係です。もしも王家の貴婦人が居合わせたら、シュミーズを着せる役目は女官から、王家の貴婦人へと替わります。次々と高位の貴婦人が現われたら、その度ごとに第一侍女にシュミーズを渡して高位の貴婦人へ、また侍女に戻してさらに高位の貴婦人へ…。その間、王妃様は裸のままでいつまでも待たなくてはなりません。
ある日、とうとう王妃様が、身支度は私ひとりに任せるとの命を下されました。しかし、ここはベルサイユ。私の身分では王妃様の寝室に入ることはできません。それで寝室の奥にある小部屋で、王妃様の身支度をさせて頂くこととなりました。
格式高いベルサイユに、第三身分でありながらこのように出入りさせて頂いたのは、私と髪結い師のレオナール、香水商ファージョン、そして近衛連隊長オスカル・フランソワの従者アンドレ・グランディエくらいでしょう。

次回から、私ローズ・ベルタンが、この絢爛たるベルサイユで栄華を極めた方々の衣装、私が店を持つパリの人々の服装をご紹介して参ります。(安瞳麗

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18世紀中頃 ディドロ編「百科全書」 Couturiere.
                  

《参考文献》
・ 「パリ・モードの200年 18世紀後半から第二次世界大戦まで」南静著 文化出版局
・ 「知の再発見」双書100「王妃マリー・アントワネット」エヴリーヌ・ルヴェ著 塚本哲也監修 遠藤ゆかり訳 創元社
・ 「マリー・アントワネットの調香師 ジャン・ルイ・ファージョンの秘められた生涯」エリザベット・ド・フェドー著 田村愛訳 原書房
《参考図版》
・ ディドロ編「百科全書」Couturiere・・・京都
服飾文化研究財団コレクション 「ファッション 18世紀から現代まで」  TASCHEN
2002年

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投稿者 ベルばらKidsぷらざスタッフ  2009/01/08 9:27:24 ロココの衣装小部屋 | | トラックバック (1)

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受信: 2009/01/11 10:54:56