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2009年2月12日 (木)

ロココの衣装小部屋

咲き誇る花々 ローブ・ア・ラ・フランセーズ

私、ローズ・ベルタンマリー・アントワネット様にお仕えし始めたのは、アントワネット様がまだ王太子妃殿下の頃のことでございました。
当時、このベルサイユでアントワネット様に並び、権勢を誇っていたのは、皆様もご存知のデュ・バリー夫人でございます。

先王ルイ15世陛下は「最愛王」と称されたほど、その生涯に多くの女性を愛されました。中でも特にご寵愛を受けたのは、“maÎtresse déclarée”(公式愛妾、公式寵妃)といわれるお役目に任命されたデュ・バリー夫人と、先代の“maÎtresse déclarée”であるポンパドゥール夫人でございました。

ところで皆様は、“ロココの女王”というと、どなたを思い描かれますか?
アントワネット様とお答えになる方が多いと存じますが、正解は、ポンパドゥール夫人でございます。
“ロココ”というのは、優美な室内装飾や、庭園に人工的に造られた石や貝殻で飾られた築山や岩窟が、人造石(ロカイユ)と似ていたため、19世紀になってから名づけられました。
前時代の荘厳で重厚な、いわば男性的なバロック様式と違い、ロココ様式の特徴は、その繊細な優雅さにあります。家具調度品は柔らかな曲線で構成され、小振りなソファ――カナペやデュシェスが作られました。明るく優しい色彩が好まれ、オリエンタルなシノワズリ(中国風の趣味)も取り入れられた、感性豊かな様式です。
花のモチーフが好まれ、ポンパドゥール夫人は、特に薔薇を愛されたと伝え聞いております。
貴族の方々は「着飾る」ことに情熱を傾け、洗練された物腰、洒落た会話、豪華な食事も着飾ることと同じくらいに重要なことでございます。
音楽など芸術への関心も深く、皆様、楽器や歌をたしなまれました。

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ポンパドゥール夫人の頃から、現国王ルイ16世陛下の治世まで、長きに渡りベルサイユで儀礼服とされたのが「ローブ・ア・ラ・フランセーズ(フランス風ローブ)」でございます。

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ドレス(ローブ・ア・ラ・フランセーズ) 1770年代(テキスタイル:1750-60年代) 京都服飾文化研究財団所蔵、広川泰士撮影

ローブ・ア・ラ・フランセーズ」は前あき式のローブで、開いたスカート部分からアンダースカートを見せて着用いたします。
素材は光沢のあるサテンや、豪華な模様織りのブロケードなど。
胸元にはピエス・デストマ(英名:スタマッカー)という装飾的な胸当てを付け、袖口は何段ものレースのアンガジャントがあしらわれます。さらに、たくさんのリボン、フリル、造花、縁飾りなどで飾られ、真珠や宝石も飾られました。

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ドレス(ローブ・ア・ラ・フランセーズ) 1760年頃 イギリス 京都服飾文化研究財団所蔵、広川泰士撮影

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ドレス(ローブ・ア・ラ・フランセーズ 部分) 1760年頃 イギリス 京都服飾文化研究財団所蔵、広川泰士撮影

ローブの背側には、何本かの縫い襞(ひだ)が寄せられ、裾に向かってゆるやかな流れをつくります。この襞は、画家のヴァトーの絵に多く描かれていることから、ヴァトー・プリーツといわれます。
ピエス・デストマ(胸当て)は逆三角形の形をしており、美しい胸元と細いウエストの演出に大変効果的です。さらに細いウエストを強調するため、ボディをコルセットで締め、アンダースカートの中にはパニエを着てスカートを大きく広げます。パニエは釣鐘型から、前後が平たく左右に大きく張り出したファン・フープへ、やがては肘が載るほど横広がりのオブロング・フープへと形を変えていきました。ついにはドアや階段を通るのが難しいほどに横に張ったため、パニエ・ドゥブルという左右を折りたたんで抱えることができるパニエが発明されました。

ピエス・デストマやアンガジャントについては、また、別の機会にお話させていただきましょう。

アントワネット様の衣装をお作りするようになって以来、私は様々な流行を生み出してまいりました。しかし、最も多くの貴婦人方がお召しになられたのが、前時代からの盛装である「ローブ・ア・ラ・フランセーズ」でしょう。まさに、ベルサイユに咲く高貴な花々を飾るに相応しいローブでございます。(安瞳麗

《参考文献》
・「華麗な革命 ロココと新古典の衣装展」図録 1989年4月4日~5月28日 京都国立近代美術館 京都服飾文化研究財団
・「マリー・アントワネットとフランスの女たち」 堀江宏樹著 春日出版 2008年8月5日 初版
・「モードの歴史」 R・ターナー・ウィルコックス著 石山 彰訳 文化出版局 1996年12月10日 第13刷
・「服飾辞典」 文化出版局 1996年1月19日第1版第16刷

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diamondローブ・ア・ラ・フランセーズを間近で見るチャンス!
本コラムの写真「ローブ・ア・ラ・フランセーズ」の実物を見ることができる展覧会が、4月から京都国立近代美術館で始まります。

展覧会「ラグジュアリー:ファッションの欲望」では、17世紀から現代までの約90点の服飾品を通して、“ラグジュアリー(贅沢)”について考えます。「ローブ・ア・ラ・フランセーズ」のように、華美に、豪奢に着飾ることが“ラグジュアリー”ともいえますし、シャネルが作った機能的なアンサンブルのように、そぎ落としたデザインこそ贅沢なのだともいえるでしょう。
また、既製服が当たり前の現代では、世界に1つだけのものやハンドメイドこそが究極の贅沢ということなのかもしれません。
この展覧会に出展されるファッションを通じて、“ラグジュアリー”について考えてみては?

memo「ラグジュアリー:ファッションの欲望」
《京都会場》
clock会期:2009年4月11日(土)~5月24日(日)
school会場:京都国立近代美術館
《東京会場》
clock会期:2009年10月31日(土)~2010年1月17日(日)
school会場:東京都現代美術館


⇒詳しくは公式サイトへ

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投稿者 ベルばらKidsぷらざスタッフ  2009/02/12 11:00:00 ロココの衣装小部屋 | | トラックバック (4)

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