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2009年2月10日 (火)

世界史レッスン<映画篇>

仮面の下に何が? 1703年

  ~アントワネット生誕52年前~

 1703年、バスティーユ監獄でひとりの囚人が急死した。司祭は呼ばれず、死後、彼のいた牢内の私物は全て焼却され、身元のわかるものは何ひとつ残されなかった。死体の顔も潰(つぶ)されていたという。

 『仮面の男』(ランダル・ウォレス監督、1998年公開)は、フランス裏面史のこの謎めいたエピソードをもとにしたもの。

 当時バスティーユには主に政治犯が収容されていたが、それにしても件(くだん)の囚人の扱いは尋常(じんじょう)ではなかった。衣服や食事にはぜいたくが許され、所長が直に世話をし、他は誰も顔を見てはならないと厳命されていた。

 バスティーユに預けられて5年、それ以前にも30年近く各地の監獄をたらい回しにされていたのがわかっている。しかもルイ14世の大臣からの直接指令だという。

 いったい男は誰だったのか?

 このような特別扱いからして、身分が高かったのは間違いない。しかも顔を見ればすぐそれと知れる人間ということだ。

 さまざまな憶測がなされた。ルイ13世の妃が、臣下との間に産んだ息子ではないか、またアンリ4世の、あるいはイギリスのチャールズ2世の隠し子ではないか、etc.

 囚人の顔には常にヴェールがかけられていた。仮面をかぶっていたとの説もある。ついには、おどろおどろしい鉄仮面におおわれていたとまで噂され、稀代のエンターテイナー、アレクサンドル・デュマが『鉄仮面』として小説化(150年後だが)、これが映画の原作となる。

 デュマはさすが面白い推理をしている。男はルイ14世の双子の弟で、政治の乱れを恐れた王によって幽閉された、というのだ(なるほどこれだと、なぜこれほど顔を隠したかの理由が納得できる)。

 そこへ例の三銃士とダルタニヤンが加わり、囚人を牢から助け出しての大活躍。さらにもうひとつのサプライズもあるが、それは見てのお楽しみ。

 太陽王と囚人の二役を演じるのは、レオナルド・デュカプリオで、とうていフランス人には見えない(英語をしゃべっているし!)けれど、そこはご愛嬌。絵に描いたような悪人と善人をくるくる演じわけ、楽しそうなので許そう。 (中野京子)

movie仮面の男

監督:ランダル・ウォレス
出演:レオナルド・デュカプリオ、ジェレミー・アイアンズ他
公開:1998年

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投稿者 中野京子 2009/02/10 8:50:36 世界史レッスン<映画篇> | | トラックバック (1)

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 朝日新聞公式ブログ「ベルばらkidsぷらざ」にて連載中の「世界史レッスン<映画篇>」第九回の今日は、「仮面の下には何が?」⇒ http://bbkids.cocolog-nifty.com/bbkids/2009/02/post-a98b.html#more  デュマ原作『鉄仮面』を現代的にアレンジした『仮面の男』について書きました。  さて、先日の日曜日は、神戸の兵庫県立美術館でベラスケスの描いたマルガリータ王女についての講演をしました。  こじんまりとするのかと思っていましたら、250人の... 続きを読む

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