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2009年2月27日 (金)

神々のプロフィール―ばらに宿った神話―

人類最古の職業の女たち

 人類最古の職業、それは娼婦だという。娼婦というのはそれくらい、人間社会に必要な存在ということだろうが、一方でこれほど卑しまれている職業もないだろう。

 『ベルサイユのばら』では、1人の元娼婦が登場する。
それは、ルイ15世の寵姫デュ・バリー夫人である。デュ・バリー夫人は、貧しい平民の娘に生まれたが、その美貌と豊満な肉体を武器に多くの男を虜にし、最終的にはフランスで最高の身分の男にいきついたのだ。大変したたかで、くえない女のイメージである。
だが、フランス国王たるルイ15世は、どんなに身分が高くても、どんなに美しい女性でも恋人にできる立場なのに、わざわざデュ・バリー夫人を選んだということに注目すべきだ。美貌と肉体だけでは、身分も高く美人ぞろいのライバルたちを蹴落とせるとは思えない。他にも彼女にはそれだけルイ15世にアピールする何かがあったと考えるほうが自然だろう。
それなのに、元娼婦ゆえに、デュ・バリー夫人が認められることはない。特にルイ15世の娘達、そしてマリー・アントワネットとは利害が対立するため、激しく憎まれ、蔑まれている。
ルイ15世にとってデュ・バリー夫人は、そういった高貴な身内の女たちと違って、ほっとできる相手だったのかもしれないのに。

 ギリシャ神話の神々の中で、娼婦の守護神となっているのは、愛と美の女神アフロディテである。特に有名な歓楽街だったコリントスでのアフロディテへの信仰は厚かった。
娼婦は愛と美の女神によって守護されるべき存在、愛と美の女神によって象徴されるものであった。

 しかし、それだけではないのだ。娼婦のルーツをギリシャ神話はこう伝えている。
 
 アフロディテの信仰の中心キュプロス島には、額にごつごつした角を生やした「角男」と呼ばれる残虐な性格の怪人がいた。角男は、客人を殺して、その肉体を神々の王ゼウスの祭壇に供えていた。アフロディテはあまりの忌まわしさにこの島から去ろうかと考えたが、「この地には罪はない。罪があるのはあの男」と思いとどまり、代わりに罰として角男を雄牛の姿に変えた。

 こうして、女神がその力をこのように不敬な輩に示したというのに、この島の王の娘たちは愚かにも女神を否定し続けた。
そこでアフロディテは、角男と同じように娘たちに罰を与える。アフロディテは娘たちに絶え間ない情欲を与えたのだ。それにより、娘たちは世界ではじめて娼婦となって、男たちに次々とその身を任せるようになった。恥じらいを失い、頬を赤らめることすらなくなった娘たちは、最後には固い石に変わったという。

 娼婦は奨励されるのか、否定されるのか。奨励しながら否定もされているといったところだろうか。(米倉敦子

《参考文献》
『変身物語』 オウィディウス作 中村善也訳 岩波書店
『ギリシア・ローマ神話辞典』 高津春繁著 岩波文庫

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投稿者 ベルばらKidsぷらざスタッフ  2009/02/27 11:00:00 神々のプロフィール―ばらに宿った神話― | | トラックバック (1)

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