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2009年3月13日 (金)

神々のプロフィール―ばらに宿った神話―

愛の試練にさらされて

フランス王妃マリー・アントワネットとスウェーデン貴族フェルゼンがはじめて出会い、恋に落ちたのは18歳の時。思えば、本当に長丁場の恋愛である。よくぞ縁が切れなかったものだと感心してしまう。

なにしろ最初から結ばれようはずのない境遇である。
そして、よくよく考えてみるとフェルゼンは自ら2度もアントワネットの前から姿を消している。1度目は、アントワネットの立場を案ずるオスカルにプレッシャーをかけられスウェーデンに帰国。2度目は、アメリカ独立戦争に出兵。いずれにしても、アントワネットへの恋心を振り切るために身を引いたフェルゼンだった。

しかし、それでもこの愛は、時間も距離も乗り越えたのである。離れている間、フェルゼンに他の女性との出会いや、人生の指針を変える出来事があってもおかしくないだろうに。
2人の愛の強さは本当にただものではない。

ギリシャ神話でも、神の意思さえ超えた力強い愛の物語がある。
ケパロスとその妻プロクリスは深く愛し合っていて、お互いに絶対に裏切らないと誓いを立てていた。
しかし、そんなケパロスに暁の女神エオスが恋におち、さかんにかきくどいた。頑として女神を受け入れないケパロスだったが、「妻に先に誓いを破らせ、それからそなたが破ればよい」という言葉に心を動かしてしまった。

女神によって旅人に姿を変えたケパロスにせまられたプロクリスは、彼がさしだす素晴らしい贈り物に目がくらみ、つい夜を共にした。
他人と思っていた旅人が実は夫であったと知ったプロクリスは、クレタ島へと逃れた。といっても、プロクリスは夫をあきらめたわけではなかった。この撤退は起死回生を呼び込むための戦略的撤退だった。

プロクリスはかの地の女神アルテミスに自分の現状を切々と訴えた。処女神であるアルテミスは、はじめは人妻プロクリスのことを快くは思わなかったが、その熱意にほだされ、彼女に誰にも避けることができない投げ槍と、いかなる野獣も追い払うことができない犬を与えた。
プロクリスは髪を短くし、男装してケパロスの前に現われ、狩りの腕を競う勝負を挑み、彼に打ち勝った。投げ槍と犬を譲ってくれるように言うケパロスプロクリスは、自分と一夜を共にするならばそれらを譲ると返答した。

投げ槍と犬の誘惑に負けて、ケパロスは、その男の寝室を訪れた。プロクリスは、やって来た夫に裸体を見せ、自分が彼の妻であることを明かした。そして、ケパロスは妻から贈り物を受け取り、夫婦は和解したのである。

まさに不屈の意志と愛の力で女神にも打ち勝ったプロクリス…と言いたいところだが、このエピソードには愛情の深さ故の悲しい落ちがある。
ケパロスを取り戻したというのに、プロクリスの心から女神エオスへの恐怖心は消えなかった。彼女は狩りに行く夫に密かについていき、見張るようになってしまった。そして、ある時ケパロスは、例の、誰にも避けることができない投げ槍で、藪に隠れていた妻プロクリスを殺してしまったのだ。

愛にとって一番脅威なのは、試練の壁やライバルではなく、相手のことを信じきることができない不安な自分の心なのだろう。(米倉敦子

《参考文献》
・『ギリシャ神話集』 ヒューギヌス著 松田治・青山照男訳 講談社学術文庫

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投稿者 ベルばらKidsぷらざスタッフ  2009/03/13 11:00:00 神々のプロフィール―ばらに宿った神話― | | トラックバック (0)

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