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2009年5月15日 (金)

神々のプロフィール―ばらに宿った神話―

王位を巡る骨肉の争い―ブルボン王家とアトレウス王家

 フランス革命というと王族VS第三身分の対決をまず思うが、実際はルイ16世王妃マリー・アントワネットの敵は第三身分だけではなかった。
 国の財政を再建できずにいるルイ16世と浪費家の王妃への批判が高まる中、彼らにもっとも近しい関係である人物が、密かに国王夫妻の失権を願っていた。ルイ16世の実の弟であるアルトア拍プロヴァンス伯である。
 この二人の王弟は、死病にとりつかれている幼い王太子ルイ・ジョセフの死を願い、第二王子ルイ・シャルルアントワネットの恋人であるフェルゼンの子どもに違いないという悪意に満ちた噂をしていた。

 さらに革命勃発後は噂だけに止まらず、公然と王位への野心を露にする。
 彼らは兄であるルイ16世を見捨て、いち早く国外へ逃れると、革命が自国に飛び火することを恐れるヨーロッパ諸国の王に対し、フランスへの宣戦布告を勧めた。この戦争で国王一家が民衆によって殺害されてしまえば自動的に王冠は自分のものというわけだ。

 到底庶民には分からない感覚だが、王位という強大すぎる権力のためとなると、血族の強く暖かいはずの絆も、冷酷にも捨て去れられてしまうようだ。

 ギリシャ神話も、王位を巡る骨肉の争いのエピソードはたくさん存在する。その中でも、ミケーネの王位を巡るアトレウステュエステスの物語はその残酷さで際立っている。
 アトレウステュエステス兄弟は、ピサの王ペロプスの息子たちであったが、異母弟の死の責任を負わされ、追放の身となり、ミケーネに預けられていた。
 しばらくして、ミケーネの王が殺害され、王には跡付きがいなかったため、ミケーネの民は誰を王とすべきか神々に尋ねた。神託は「ペロプスの子を王とすべし」と告げたが、アトレウステュエステス、どちらを王にすべきかは分からなかった。
 そこで、テュエステスは、「黄金の子羊の所有者が王になろう」と提案する。その提案にアトレウスは喜んでのった。なぜなら、彼こそ黄金の子羊の皮が入った箱の所有者だったからだ。
 ところが、実際王に即位したのは、テュエステスだった。テュエステスは、アトレウスの妻と密通し、その箱を彼女を介して手に入れていたからだ。しかし、テュエステスの不正を神々は許さず、テュエステスが即位すると、太陽を西から昇らせ、東に沈めた。太陽の異常な動きを目の当りにし、自分たちの誤りを知ったミケーネの民はアトレウスを王にむかえ、テュエステスは追放の身となった。

 だが、しばらくしてアトレウステュエステスの追放を解き、和解の手を差し伸べ、仲直りのために晩餐の席を設けた。
 これで、“めでたし、めでたし”だろうか?いや、ここからが血みどろの悲劇の幕開けとなる。
 和解の食卓には、豪華な肉料理が並んでいたが……食事を終えたとき、テュエステスはその料理を全て吐き出すことになる。料理されていたのは、テュエステスの三人の息子たちだったからだ。この晩餐は、妻の不貞を知ったアトレウスのあまりにも残酷な復讐だった。

 アトレウスへの憎悪に燃えるテュエステスは、復讐のために神託を得る。それは、「自分の娘を交わり、子を産ませよ」というとんでもない内容だったが、テュエステスはためらうことなく我が娘に襲いかかった。こうして、実の父娘との間に産まれた宿命の子アイギストスは、アトレウスを討ち取り、父であり祖父であるテュエステスを念願のミケーネ王として即位させる。
 ところが、因果応報にはまだ続きがあり、今度はアトレウスの子であるアガメムノンによって王位は奪われるのである。そして、このアガメムノンとてその運命は安泰ではないのである……。

 なにもそこまでして……と思ってしまうのは、庶民故だろうか。
 王位に近いところに産まれれば、国一番の地位への欲望が自動的に湧いて出て、抗い難いものとなるのだろうか。
 なにはともあれ、庶民でよかったとは思わざるを得ない。(米倉敦子

《参考文献》
『もう一度学びたいギリシア神話』 松村一男監修 株式会社西東社
『古代ギリシアがんちく図鑑』 芝崎みゆき著 バジリコ株式会社
『ギリシアの神話』 カール・ケレーニイ著 植田兼義訳 中公文庫

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投稿者 ベルばらKidsぷらざスタッフ  2009/05/15 11:00:00 神々のプロフィール―ばらに宿った神話― | | トラックバック (0)

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