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2009年7月28日 (火)

世界史レッスン<映画篇>

革命を舞台のロマン 1789年

  ~アントワネット34歳~

 イギリスの文豪ディケンズは、カーライルの名著『フランス革命』を参考にーー何しろ革命はディケンズの生まれる四半世紀前の事件だったーー大ロマン『二都物語』を書いた。二都とは、パリとロンドン。

 波瀾万丈の、いかにも映像向きストーリーなので4度も映画化されたが、いずれも古いモノクロ版ばかり。最新の『二都物語』(ラルフ・トーマス監督)でさえ、制作年が1957年と、一昔前である。

 二元論好きの欧米人らしく、ここでもさまざまなものが鋭く対立させられる。

 平和なイギリスVS不穏なフランス、ロンドンにおける正義の裁判VSパリにおける無法な革命裁判、新たな人生を切り開こうとする高潔な貴族VS顔はそっくりだが生き甲斐喪失して飲んだくれる弁護士、外見も内面も欠点ひとつない(!)美女VS不幸な生育歴から復讐心に凝り固まって身を滅ぼす貧しい女・・・・

 わかりやすすぎて現代人にはリアルに感じられないのが、リメイクされない理由のひとつなのだろうか? 主人公が報われぬ恋に身を殉じ、進んでギロチン台へ上るラストに、説得力をもたせにくいのか?

 とはいえ本作は革命前後のパリの混沌が活写され、本筋以外のエピソードに興味深いものが多い。たとえばーー

 いつも編み物の手を休めない女性。彼女は仕事熱心なのではなく、革命分子として、密かに敵や味方の人名を編みこんで記録しているのだった。

 貧民街を通る荷馬車から樽が転げ落ち、ワインが道ばたに流れ出ると、みんながわっと集まり、はいつくばって舐(な)めはじめる。酒屋の亭主が、「ワインなぞ長年飲んだことないあいつらが味を覚えたら、うちの店を襲ってくるかもしれん」と心配する。

 権力を嵩(かさ)にきてやりたい放題の侯爵は、邸の庭に贅(ぜい)の証の孔雀(くじゃく)を飼っている。馬車が着くたびその孔雀たちは、侯爵の悪行を暴くかのような、あるいは凶兆そのものの、凄まじい鳴き声をあげて観客をぎょっとさせる。

 1789年のバスティーユ陥落シーンも出てくる。バスティーユは官僚の天下り先でもあったから、大衆の憎悪の的だった。ここに閉じ込められていた、というだけでその人物に周囲は敬意をはらう。

 他にも、新鮮な死体を手に入れようと墓場荒らしが柩をあけるシーン、革命の芯だった民衆が、勝利を重ねるにつれ次第に残虐さをエスカレートさせてゆく過程、昨日の情報をもとにフランス入りして逮捕される不覚など、この時代が実によくわかる。

 もちろんイギリス人の、フランスへの意地悪で皮肉な眼差しもたっぷり見られます。 (中野京子)

movie二都物語

監督:ラルフ・トーマス
出演: ダーク・ボガード、ドロシー・テューティン他
制作:1957年

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「もっと読みたい」との読者の期待に応え、さらに怖い、待望の第三弾!

「怖い絵3」
著者:中野京子
出版社:朝日出版社
発行年月日:2009-06-10
ISBN:9784255004808
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投稿者 ベルばらKidsぷらざスタッフ  2009/07/28 10:33:59 世界史レッスン<映画篇> | | トラックバック (1)

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 朝日新聞公式ブログ「ベルばらkidsぷらざ」で連載中の「世界史レッスン<映画篇>」第19回の今日は、「革命を舞台のロマン」⇒ http://bbkids.cocolog-nifty.com/bbkids/2009/07/post-ec14.html#more  古いモノクロ映画「二都物語」について書きました。  このDVDを入手したのはつい最近。書店のワゴンの中に500円(正価!)で売っていたのです。版権が切れて昔の映画がずいぶん安く売られるようになっていますね(近所のTUTAYAにはなかったの... 続きを読む

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