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2009年8月20日 (木)

楽園の生活案内

貴婦人の夜

 ショッピングや社交訪問を一通り終えると、お日さまの光はやわらいできます。
 このような心地の良い時間帯は、ぜひそぞろ歩きでもしたいもの。
 貴婦人たちは、チュイルリー公園などで、芝居オペラが始まる6時頃まで時間を潰します。
 チュイルリー公園は入場無料。
 けれどもそこには門番がいて、服装がだらしない方や従僕などの制服姿の方にはお引取り願うことになっています。
 この公園は野外サロンといったような雰囲気が漂っていて、けれどもあまり気取りすぎているわけでもなく、ここでは見知らぬ人同士でも、とても身分の高い御婦人であっても、気軽におしゃべりを楽しんだのだといいます。

 そしてここには顔見知りの常連もよく来るので、おしゃべりはいっそう盛り上がるし、そうでなくても自作の詩を朗詠する詩人がいたり、ヌーヴェリストと呼ばれる情報屋が、最新のニュースだとかスキャンダルだとかを教えてくれるので、時間潰しにはとても都合の良い場所だったようです。

 6時頃になると、劇場へ向かいます。
 芝居小屋自体は20軒以上あったけれども、そのなかでも特に有名だったのは、『コメディ・フランセーズ座』
 お芝居の質はとても高かったようで、外国人の賞賛が相次いでいます。
 それに対して、外国人から非常に評価が低かったのはオペラ

 ヴェニス出身の喜劇作家ゴルドーニは、
 「すべては美しく、すべては大がかりで、すべて素晴らしい。ただし音楽以外は」
 「眼には天国、耳には地獄」

 などといった証言を残しています。

 音楽のひどさについては、モーツァルトも文句を言っています。
 「いまいましいフランス語というやつが、音楽にとってこんなに役立たずでさえなかったら!」
 「男女の歌手ときたら……歌手などと言える代物ではありません……歌うのではなくて、叫んだり、吼えたり、しかも花から、のどから、あらん限りの声をだして……」

 ~『モーツァルトの手紙』 柴田治三郎編訳より~

 などといったありさま。
 つまり要約すると、フランスのオペラの売りは音楽を聞くことなのではなく、豪華な舞台装置衣装などを見物するためのもの、といった様子だったのだということです。
 けれども、お客さまがたにとってみれば、それで充分だったのかもしれません。
 何しろ、オペラを聴きに行ってもしっかりそれを見物する人などは少なく、オペラとはつまり、恋人と逢引しに行くためのもの、または親しい友人とお話しに行くためのものだったりしたのだから。
 手にしたオペラグラスには、俳優や女優がうつっていたのではなく、持主のお目当ての相手しかうつされなかったのかもしれません。

 そのほか、貴婦人たちは音楽会、舞踏会、仮装パーティーなどなど……それぞれのお屋敷で催される数々のイベントにも、沢山出席していたようです。

 さて、夜の一番の楽しみは、とにかく賭博
 若者も年寄りも、男も女も、みんなが揃って当時熱中していた遊びです。
 マリー・アントワネットもはまっていたことで有名ですが、これは何も彼女だけのことではありません。
 王家の者でも、例えばルイ15世は、一年間で2万280リーブルを賭博で失いました。
 さらに摂政オルレアン公の娘にあっては、一晩で180万リーブルも失ったのだとか!
 これは当時どれくらいの価値があったかというと…例えば当時の上流階級の娘たちの年間の教育費と比べてみましょう。
 上流階級の娘たちは結婚するまでずっと修道院に預けられ、教育を受けるのが当時の常識でしたが、この年間の費用はおよそ400~600リーブル。
 それに小間使いをつけてプラス300リーブル。
 さらに最も格式が高く、それゆえにお金もかかるということで有名なパンテモン修道院は、普通コースと特別コースとに分かれていて、前者は600リーブル、後者は800リーブルかかったのだとか。

 かなり贅沢をさせたとしても、どれも1000リーブルにも満たないのですから、それだけ余計なお金があったら一体何人の娘が育てられるでしょう!
 さらにいえば、宝石好きのマリー・アントワネットが、あまりに高額なのでさすがに手を出せなかったベーマーの首飾り(かの有名な首飾り事件ですね)が160万リーブルだったことを考えると、まずオルレアン公の娘の博打はとんでもない額だったということがよくわかります。

 そんなこんなで夜は次第に白んでいく……。
 確かに貴族たちは、特に特別何をするというわけでもないけれど、とても忙しい毎日を送っていたようです。

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『秘密の花園』貴族たちの日常や文化がいっぱいなブログ。ベルばらKids関連話も更新していく予定です。よかったら是非、遊びにきてくださいね!」

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投稿者 ベルばらKidsぷらざスタッフ  2009/08/20 11:00:00 楽園の生活案内 | | トラックバック (3)

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