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2009年8月25日 (火)

世界史レッスン<映画篇>

性の壁をかろやかに超えて 1750年

   ~アントワネット没後71年~

 始まりは、16世紀後半のイングランド。エリザベス一世に仕える美貌の貴公子オルランドは、女王から「決して老いてはならぬ」と厳命され、以後360年間、若さを保って生き続ける・・・・。

 ヴァージニア・ウルフの原作と比べ、映画版『オルランド』(サリー・ポッター監督、1993年公開)はフェミニズム色がいい具合に薄れ、絢爛(けんらん)たる絵巻の中、一気に英国史を駆け抜ける面白さがある。主演のティルダ・スウィントンの両性具有的魅力も圧倒的だ。

 17世紀になり、永遠の青年オルランドは、ロシア大使の娘に熱烈な恋をする。だが裏切られ、ショックで7日7晩(まるでファウストみたいに)眠り続けて、やっと少し傷を癒す。

 半世紀後、彼は詩人になるため真剣に学んでいる。それでもなお恋の痛手は完治せず、さらに半世紀後(まさに百年の恋だ)、いっそ国を離れようと、外交官として東洋へ赴任する。

 異国の王の台詞が痛烈だ。「英国は、よその国をコレクションする癖がおありだとか」。あまりにそのとおりなので、オルランドは言葉を失う(観客は笑う)。

 まもなくその地で戦争が始まり、血なまぐさい戦場を目にしたオルランドは再び昏睡状態に陥り、7日7晩眠って目覚めると・・・・彼は「彼女」になっていた!

 オルランドはカメラをまっすぐ見つめ、無表情のまま我々にこう語りかける、「前と同じ人間。何も変わっていない。性が変わっただけ」ーーレディ・オルランドの誕生だ。

 1750年。オルランドはポンパドゥール風に髪を結い、ロココの衣装に身をつつんで宮廷デビューする。不思議なことに、男だったころのオルランドには、どこかしら女性的な匂いがまといついていたのに、女になったオルランドは、なんだか女装した少年のような雰囲気が漂っている。

 性が変わって、しかし経済問題がふりかかる。この時代、女には相続権も財産権もないので、邸や資産が全部取り上げられることになるのだ。さっそく老人がプロポーズしてきたので、拒絶すると、「貧しいオールドミスで死ぬつもりか」などと暴言を吐かれる。

 結婚するしか生きる道のない女性にとって、誰をゲットするかが最重要課題になるのは必然で、ジェーン・オースティンの『エマ』『自負と偏見』などのヒロインへの理解が深まろう。

 オルランドは、しかしそこに留まらない。さらに世紀を超え、新大陸から来た自由そのものの男性とワイルドな恋をし、娘を産み、現代に突入する・・・・。

 必見! (中野京子)

movieオルランド

監督:サリー・ポッター
出演: ティルダ・スウィントン、クウェンティン・クリスプ他
公開:1993年

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投稿者 ベルばらKidsぷらざスタッフ  2009/08/25 8:32:48 世界史レッスン<映画篇> | | トラックバック (2)

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