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2009年10月 1日 (木)

楽園の生活案内

嫉妬の美学

 嫉妬とは人間にとって不毛なもので、恥ずべき感情である。
 嫉妬する人間は心が狭い。器が小さい。
 愛を育むということにとって、こういった醜い感情は全く邪魔なものである。
 すべての人がそうではないかもしれないけれど、現代に生きる私たちには、心のどこかでこのような感覚が息づいているのを感じることがあるのではないでしょうか。

 こういったことは人間にとって普遍的なもののような気もするけれど、実はこれは、西洋で言うならば、フランス革命後の19世紀に流行った特有の考え方だったりするのです。
 彼らは嫉妬という感情を特にどす黒く醜いものとして考え、人前にそれをさらすのは恥ずべきものだとして、社会から引きずりおろし、封印してしまいました。
 そして「嫉妬」という言葉に代わって現れたのは、「正義」という建前。
 つまり、もし妻に浮気相手が現れようものなら、相手の男性を「自分のプライドを傷つけようとする挑戦者」だとして、正義のために決闘を行なったりしたわけです。
 そうやって彼らは「道徳」や「法律」(例えば「一夫一婦制」といったような)を盾にすることによって、「嫉妬」という言葉を用いずに、自分の嫉妬心を正当化することができたのです。
 それどころか、彼らのそういった行いは、社会からは「男らしさ」として評価が上がったりすることまであるのでした。(ちなみに女性にはこのようなはけ口がないため、嫉妬とは女性の専売特許だとされてしまったのです)

 さてこのような文化を経た結果、私たちには上のような感情がどこかに備わってしまっているわけですが、では何もかもが美しいものに変わってしまう、このフランス革命前の楽園では、このような醜いものに対しては一体どのように対処していたのでしょう。

 何と彼らは、嫉妬を闇に封印するようなことはしなかったのです。

 彼らは、人間とは男女を問わず、当然嫉妬心に悩まされる弱い生き物なのだと熟知していました。
 だからむしろ、「嫉妬」に対しては社会に居場所を与え、それと上手につきあえるように、社会のルールを決めたのです。
 彼らは19世紀の人びとのように嫉妬心を存在しないものとして扱うのではなくて、その存在自体は否定せずに、社会が幸福であるためにこれを上手くコントロールするように仕向けました。
 楽園の人びとはこう考えます。

 嫉妬とは、滑稽なものである。

 だからもし夫が、妻の寝室にうっかり入り込んで、その浮気の現場に遭遇してしまったとしても、これは見なかったふりをするか、相手に対して優しい言葉をかけるかするというのがマナーであり、だとされました。
 もしここで怒鳴り込んでいったり暴力を振るったり青ざめたりなどすれば、それはむしろ彼のほうが野蛮な人として世間から後ろ指をさされてしまうわけです。
 19世紀の考え方と、プライドの保ち方が全く逆になっているのが面白いですね。

 そのほかにも、彼らは快楽を追求することにかけては右に出るものがいないくらいの人々ですから、程よい嫉妬は恋愛にとって良いスパイスになるのだということにもしっかり気が付いていました。
 そういうわけで、楽園でもよく行なわれた「決闘」とは、あくまで象徴の儀式。
 実際に血みどろの殺し合いになるようなことはあまりなかったようです。
 彼らにとって、恋とはバラの棘のようなもの。
 決闘は相手に対して恨みを晴らすためのものではなく、その事実だけをいただいて、あとはちゃっかり甘い蜜を吸うのです。

 こうして楽園の都に住む人々は、醜い争いですら、どこまでもエレガントなものにすることができたのです。

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投稿者 ベルばらKidsぷらざスタッフ  2009/10/01 11:00:00 楽園の生活案内 | | トラックバック (1)

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