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2009年10月15日 (木)

楽園の生活案内

退屈することは禁物

 これは、ヴェルサイユの楽園の人々の間で広まった、ある種の恐怖感。
 『百科全書』を書いているモンマルテルという人は、この「退屈」をさして「満足病」と名づけました。
 何故なら、この病におかされるのは、一日一日の生活に追われる庶民ではなく、とても満たされた特権階級の人だちだけだったからです。

 さて、この「退屈」をとても怖がった人として有名なのがルイ15世
 彼は生まれたときからすでに全てを手にしていたのだから、考えてみれば当たり前のことです。
 満たされた特権階級のなかで頂点に存在する彼なのですから、むしろ「満足病」におかされないほうがおかしいというものでしょう。
 そんなときに現れたのが、彼のレジャー大臣として有名な、愛妾ポンパドゥール夫人です。

 彼女は本当に、王を喜ばせるのが上手でした。
 堅苦しい宮廷作法から逃げ出してきた王を迎える部屋には、王の心がやすらぐような色と素材を使って整えられ、例え冬であっても、温室で大事に育てられたお花が沢山生けてありました。
 それから王の好みに合うワインや料理もそこには用意されてありました。
 彼女は王の一挙一動でそのときの王の感情や欲求を読み取ることができたので、その雲行きによって、柔軟に新しい楽しみを考え出したといいます。 彼女の考え出した王の楽しみは、本当に種類も沢山。
 すぐに退屈してしまう王でしたから、その遊びの数も山ほどあったようです。

 あるときは楽しいお話をしたり、あるときは音楽をおきかせしたり、あるときは死や病の恐怖にとりつかれた王の聞き役にまわってお慰めしたり、詩を朗読したり、お芝居を演じてさしあげたり…。
 彼女が作った植物園では、王専用の、フランスで一番早く収穫できる苺の栽培をしてみたり。

 しまいには王専用の娼館まで作ってしまいました。
 王の女性の好みを熟知していた彼女は、王好みの若い娘たちをヴェルサイユの庭園の中に住まわせたのです。
 王はその立場上、ある意味では「究極の満足病」だったのかもしれませんが、社会現象になるくらいですから、これはもちろん王だけのことではなく、貴族たちにも共通のことだったのではないかと思われます。

 そういうわけで、貴族たちのスケジュールは、一日中、社交や娯楽の予定でびっしり。 そのちょっとした合間ですら孤独になるのはとんでもないと、手慰みの手芸が発達したり、ペットを飼うことなどによって、もはや病的なほど、彼らは一人になる時間というものを避けるようにしていたように見えます。
 特に「何をする」という名目があるわけではないのですが、一日のうちに空いた時間は一時間もなく、これなら「満足病」に煩わされている時間もない、というわけです。

 マリー・アントワネットが狂騒の中に身を置きたがっていたわけは、彼女だけの罪悪なのではなく、こういった社会現象によるものだったのかもしれません。

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投稿者 ベルばらKidsぷらざスタッフ  2009/10/15 11:00:00 楽園の生活案内 | | トラックバック (1)

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今日はベルばらkidsぷらざの、mashironのコラム、『楽園の生活案内』の更新日です 第8回は、「満足病」についてです。 楽園で流行していた、「満足病」という奇妙な病気についてのお話をしています。 それについてはそちらのほうを参照していただくことにして、こちらでは王の「満足病」の良い医師であった、ルイ15世の寵姫ポンパドゥール夫人の、血のにじむような努力についてお話したいと思います。 ポンパドゥール夫人 ポンパドゥール夫人はルイ15世に「そなたはフランス一魅力的な女性だ」と言わ... 続きを読む

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