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2009年11月27日 (金)

神々のプロフィール―ばらに宿った神話―

やっぱり美女は得?

 国が滅びる原因となった美しい女性、「傾国の美女」といえば、楊貴妃クレオパトラなどの名前が出てくるが、フランス王妃マリー・アントワネットもその資格があるように思える。

 歴史に「もしも」はないというが、「もしも」アントワネットが国の財政を省みず贅沢三昧に興じなかったら、寄生虫ともいうべき自分のお気に入りに地位や財を分け与えなかったら、フランス革命は起こらなかったかもしれない。起こったとしても、王家が断絶という憂き目にあうことはなかったかもしれない。そういう想像をせずにはいられない。
 
 ギリシャ神話には世界を代表するともいうべき「傾国の美女」が存在する。日本では世界三代美女は、「クレオパトラ」「楊貴妃」「小野小町」だが、世界的には「小野小町」に代わってその名があげられるのが「ヘレネ」その人である。
 ヘレネはスパルタの王妃レダの娘だが、父親は神々の王ゼウスである。レダは白鳥に化けたゼウスと交わってヘレネを産み落としたという。
 ヘレネという人物はそのあまりの美しさゆえか、彼女の性格まで言及したエピソードが少なく、「とにかくすごい美女だった」という印象しかないのが特徴である。「ヘレネ」という1人の女の話というよりも、「美女」というのが彼女の人格となってしまっているように思えるくらいだ。

 まず美女エピソードのはじめは、まだ少女時代にその評判を聞きつけたアテナイの王テセウスにかどわかされたところからはじまる。
 この時は、大事にならずに無事兄弟によって救い出されるのだが、彼女が年頃になると、国王やら英雄やら、名だたる求婚者がどっと押し寄せて、あまりの数の多さに収拾がつかなくなる。このままでは、ヘレネを巡って戦争になりかねない。そこで、策士オデュッセウスが「ヘレネの夫はヘレネ自身に選ばせ、もしその結婚に関して害が生じれば求婚者全員で助ける」という盟約をみなに結ばせた。

 ギリシャ一の強国ミケーネの王弟メネラオスを選んだヘレネだが、周囲がこんなに用心しているというのに彼女の美しさはまたも争いの種となる。しかも、今度は神々をも巻き込む大戦争にまで発展してしまう。
 トロイアの王子パリスが人妻であるヘレネを浚い、自分の妻としたのだ。かくて、「もしその結婚に関して害が生じれば求婚者全員で助ける」という求婚者たちの盟約が効力を発揮し、ギリシャあげてヘレネ奪還部隊が編制され、トロイアに押し寄せることになる。これが、数々の悲劇のエピソードを生み出すトロイア戦争のはじまりである。

 求婚者たちの盟約を知りながら自分で選んだ夫を裏切り、ひいては国を裏切ったヘレネ。ついでにいうと、メネラオスとの間の娘も捨てている。
 客観的にみて申し開きしようがない罪だが、そんなヘレネに意外にも世間は甘い。
 トロイアが滅びたあと、大概の伝承でヘレネ自身は元サヤに戻り、めでたし、めでたし。中には不貞を罰せられたという説もなくはないが、それはあまりメジャーなものではない。しまいには、ヘレネの不貞を詩にしたら盲目になったという話まであり、どこまでかばう気だとつっこみたくもなる。
 一方、アントワネットは断頭台の露と消えるという、恵まれない最後だったが、現在は「悲劇の王妃」として多くの同情を集めている。判官贔屓というのはあるが、そればかりではなくこんな美しい人はきっと悪い人ではないというハロー効果が少なからず人々の心理に働いているように思える。
やっぱり美女は得?(米倉敦子

《参考文献》
『ギリシア・ローマ神話辞典』 高津春繁著 岩波文庫
『古代ギリシアがんちく図鑑』 芝崎みゆき著 バジリコ株式会社

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投稿者 ベルばらKidsぷらざスタッフ  2009/11/27 11:00:00 神々のプロフィール―ばらに宿った神話― | | トラックバック (0)

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