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2009年11月 5日 (木)

楽園の生活案内

エチケット三昧

 楽園といえども、エチケットは大事。
 というか、このべルサイユの楽園では、人々はエチケットのために存在しているのではないかというくらいに、エチケット三昧の日々を過ごしていました。
 それがどれほどのものだったかというと、例えばルイ14世の愛妾、マントノン夫人はこのようにもらしています。

 「たとえ修道院でも(…中略…)宮廷の礼儀作法ほど厳しい規律はありません」

 彼女はとても信心深い女性だったので、きっと軽薄なムードとは縁遠い人物だったのだと思いますが、その彼女ですらこのように感じるほどだったよう。
 エチケットは、身分が高くなればなるほどやかましくなっていきました。
 これに関しては、その窮屈さから色々なところで苦情が相次いでいます。

 例えばルイ15世は、そのあまりもの厳格さのために息がつまり、出来る限り宮殿から遠ざかろうとしていました。
 何においても複雑な手順を踏まないと物事が進まなかったことから、彼は雨漏りですらすぐに修繕させることができず、「余は屋根屋や棟梁にすら命令を下せぬ」と言って嘆いたといいます。

 国王の食事も複雑な手順を踏まなければならないので、料理が出来上がってから配膳までにものすごく時間がかかっていました。
 そのため国王はいつも温かい料理にありつけたことがなかったというのは有名な話ですが、それは食事中に水ひとつ持ってこさせるのですら同じこと。
 配膳のための複雑な手順を逆に返し、またその手順を踏んで王の手元に届くまでに、ゆうに10分はかかっていたのだといいます。

 さらに悲惨なことに、国王は「ベルサイユでご臨終すると」いうことも決まっているのだという。
 ルイ15世は天然痘で命を落しますが、出先でその病が発覚したとき、侍従はこう言いました。

「陛下、ご病気はベルサイユでなさらなければなりません」

 そういうわけで、ルイ15世は(結果的に)死の床にあっても、ひいこら言いながらベルサイユまで移動したのだそうです。

 マリー・アントワネットが、その細かい動作まで厳密に定められたエチケットに大反発していたことは有名です。
 そのいまいましい例の一つには、その厳格な作法ゆえに、着替えのときにいつまでたっても肌着を身につけることができず、寒さのあまり震えながら裸で長時間立ち尽くしていた、というお話があります。
 これは、「その場に同席している最高位の人物が肌着を手渡す」と決められていたために、運悪く次々と来客があった際に「最高位の人物」がどんどん入れ替わり、そのたびにいちいち手順をやり直さなければならなくなってしまったから起きたこと。
 なんとも馬鹿らしいエチケットの空回りです。

 現実に柔軟に対応できないこうしたお堅い決まりごとは、それに対して意味を感じない人々にとってはかなりいまいましいことです。
 そのような中であまりにもエチケットにうるさいノアイユ伯夫人に対して、アントワネットが「マダム・エチケット」のあだ名をつけて逃げ回っていたこともまた、有名な話です。

 しかし、そうとなると一体何故、多くの人がいまいましいと感じていたこのエチケットというものが作られたのか、不思議になってきます。
 このいかめしいエチケットは、絶対王政の基礎を確立したフランソワ1世の頃から始まってはいたのですが、それを徹底して完成形の域にまで作り上げたのは太陽王ルイ14世

 彼は確かにちょっとナルシストっぽいところのある王様でしたが、これは別に、彼が見栄を張ったり格好つけたいためだけではなかったようです。
 彼はきっと幼少時にフロンドの乱という貴族の反乱に直面したことから、王権の不安定さを、嫌と言うほど肌で実感したのでしょう。
 彼は後に、これでもかというくらいに家臣たちに自分の身分をわきまえさせるようなシステムを作り上げました。
 これが、有名なフランスの厳格な宮廷作法(=エチケット)というもの。
 彼は、目で見て身分の序列がわかるように、そしてそれをできるだけ習慣的に感じさせるように、日常のすべてを儀式にして、エチケットを重んじたのでした。

 けれどもいずれ、そんな心臓ともなる人物が亡くなれば、それまで血の通っていたエチケットも、まるで化石のようになってしまいます。
 化石になったエチケットは単なる形式と化し、そうとなればそれはただ鬱陶しいだけのもの。
 それでもエチケットは、もともとは絶対王政にはなくてはならないものだったのです。

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投稿者 ベルばらKidsぷらざスタッフ  2009/11/05 11:00:00 楽園の生活案内 | | トラックバック (0)

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