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2009年12月 3日 (木)

楽園の生活案内

ヴェルサイユ宮殿に住みたい!

 1680年代以降、宮廷はヴェルサイユで営むものという定型がかなりできあがってきたために、そこに訪問してくる貴族や官僚といったような人々を収容する必要がでてきました。
 そこで新たに増設されたのが、閣僚の翼棟を2棟、南の翼棟、北の翼棟。
 さらには、ヴェルサイユに来るために使用する、馬車や馬なども収容できるように、大厩舎と小厩舎も建設されました。

 このうち北の翼棟には王族のアパルトマンが、そして南の翼棟にはその他の宮廷貴族たちが住むことを許されていました。
 私は北の翼棟の平面図を見たことがありますが、そこには小さな部屋がまるでハチの巣のようにびっしりと並んでいたのを覚えています。
 宮殿は意外と開放的なムードだったせいか、1744年にはなんと1万人がここに住んでいたのだそうです。

 さて、オスカルのお母さまも宮殿内にお部屋を戴いておられましたが、この「宮廷内に個室をもらう」ということは、貴族達にとって、とてもとても名誉なことだったようです。
 では実際、肝心の、その宮殿内の住み心地はどうだったのでしょう。
 美しいものや粋なものに囲まれて、とても優雅で、みんなが憧れる宮殿での生活はさぞかし愉快で居心地が良かったに違いありません。

 …と思いたいところではありますが、実は、これについては多数の苦情が寄せられているようです。
 まずこれはオルレアン公夫人、リスロットの証言。
 彼女は蚊の大群に悩まされたようです。
 「さんざん刺されましたわ。人が見たらまたハシカにかかったのかと思われそうです。
 スズメバチも嫌というほどいて、毎日誰かが刺されています。何日か前、スズメバチが一匹、女官のスカートの中に迷い込んで太ももを刺したことがありました。その女官は狂ったように転げまわりました。ドタバタしながらスカートをたくしあげ、金切り声で叫びました。『助けて!助けて!誰か目をつぶってハチを追い出して!』

 なんでも、ヴェルサイユ宮殿には鎧戸というものがなかったため、虫以外にも鳥やコウモリまで迷い込んでくることがあったのだそうです。

 夏にはこんな苦情もありました。
 「ひどく暑い、長く生きてきた人が、過去にこれほど暑いことがあったか思い出せないほど暑い。宮廷では皆、肌着一枚の姿で夜7時まで自室にこもっています。その肌着もしょっちゅう取り替えねばなりません。わたくし自身、たった一日で8回も新しい肌着に取り替えました。」

 寒さについては、
 「言葉では言い表せません。めらめらと燃える暖炉の傍らに座っているのに。震えてしまってペンが持てないほどです。ボトルの中でワインが凍ってしまいます。」

 マンモルテルの回想録には、このような証言が残されています。
 「暑い季節には池や運河から有害な湿気がむんむんとわきあがっていた」

 サン=シモン公爵によると、
 「国王陛下のヴェルサイユの居室は、不快の一言につきる。これよりひどいのは、便所とか、その他悪臭のする嫌な場所くらいのものだ。」

 宮殿内は盗難も横行したようです。
 警察などもいなかったので、カーテンや家具の金糸の房、もっとひどいのは、宝石のついた王の帽子までが盗まれたのだとか。

 これに加えて、貴族たちは次のようなストレスも抱えていたようです。
 これは、マダム・アデライードと、彼女付きの女官との会話。
 女官「一日に4回も着替えなければならないし、自分の時間ときたら日に15分もありません」
 マダム「あなたはそれでも一週間の休暇がとれますが、私は一年中です。悪いけど、自分に同情するだけで精一杯」

 宮廷人たちはとても退屈な日々を送っていたのですが、何故かとても忙しく、一日のスケジュールは常にびっしりなのでした。

 このように、宮殿内の生活は見た目や印象ほどには優雅でもなく、苦労も多かったようなのですが、それと引き換えにしても人々が「宮殿に住みたい」と願ったのだということは、さぞかしその生活が魅力的で価値があったに違いありません。
 王様に目をかけてもらうということは、当時の人々にとって、それだけ素晴らしいことだったということなのかもしれませんね。 

〈参考文献〉
『女王たちのセックス』エレノア・ハーマン/高木玲(訳)ベストセラーズ
『ヴェルサイユ宮殿』中島智章 河出書房新社
『生活の世界歴史 8』金澤誠 河出書房新社

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投稿者 ベルばらKidsぷらざスタッフ  2009/12/03 11:00:00 楽園の生活案内 | | トラックバック (2)

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