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2010年1月12日 (火)

世界史レッスン<映画篇>

狂乱の片想い 1812年

~アントワネット没後1年~

 いま公開中の『ヴィクトリア女王 世紀の愛』(ジャン・ヴァレ監督)には、ヴィクトリアを強力に補佐した首相メルバーン卿ウィリアム・ラムが、重要な役どころで登場する。ポール・ベタニーが演じているので30代にしか見えないが、実際は当時すでに60歳近かった。

 このメルバーン卿は、若き日、妻の不倫スキャンダルによって危うく政治生命を絶たれかけたことがある。その顛末(てんまつ)を描いたのが、『レディ・カロライン』(ロバート・ボルト監督、1973年公開)。こちらのメルバーン卿役はジョン・フィンチだった。

ただし主人公は彼の妻カロラインの方。情熱的な彼女は、学者肌のメルバーン卿に物足りなさを感じたらしい。結婚して5、6年たつころ、ひとりの若い没落貴族と運命的出会いをする。ジョージ・ゴードン・バイロンだ。

 放埓(ほうらつ)な生活でケンブリッジ大を退学し、売れない詩を書き、ギリシャやスペインを放浪して帰国したばかりのバイロンに、カロラインは夢中になる。

 ふたりの恋は、バイロンが無名のうちはまだよかった。ところがカロラインと出合った1812年のまさにその年、彼の詩集『チャイルド・ハロルドの巡礼』は、爆発的人気を博す。本人曰く、「朝、目覚めると有名になっていた」次第。

 万事が派手で芝居がかったバイロンは、たちまち社交界の寵児(ちょうじ)となる。少年たちを小姓に仕立て、4頭立ての馬車で晩餐会へ乗り込んだり、カロラインとの不倫も隠さなかった。

 噂が拡がる陰で、夫がどんなに苦しんでいるか、カロラインはほとんど気にかけなかった。才能ある詩人に愛され、得意の絶頂だったからだ。そして破局は早足でやってきた。他の女性たちがバイロンを放っておかなかったし、彼もまた次々新たな相手に心を移した。

 カロラインの狂態が凄い。晩餐の席でナイフをふりまわして自殺を図り、バイロンから二度と近づくなと言われてもつきまとい、ついには顔を黒く塗って黒人小姓姿で馬車に伴走させられてまで、彼のそばにいたがった。みんなに変装がばれて笑われても、彼女の目にはバイロンしか映らない・・・

 ほんとうにカロラインがそこまでしたとは思えないものの、近いことはあったかもしれない。なにしろバイロンの悪魔的魅力は、ずいぶん多くの人々を--しかも男女を問わず--狂わせたというし。

 さてメルバーン卿だが、そんなこんなで大騒ぎの困った女房を、やさしく受け入れたという。彼女は憑き物が落ちたように家庭へもどるのだが、けっきょく周りが黙っていなかった。このままでは卿の政治的出世に響くと説得され、離婚。

 その後のバイロンとメルバーン卿の赫々(かっかく)たる名声と比較して、なんだか彼女だけ気の毒なような、でも自業自得のような・・・。 

 ☆☆☆☆☆

 新年あけましておめでとうございます♪ 「世界史レッスン」ももう5年目へ突入です。今年もどうぞよろしくお願いいたします。(中野京子)

movieレディ・カロライン 

監督: ロバート・ボルト
出演: サラ・マイルズ、ジョン・フィンチ他
公開: 1973年

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★中野京子さんの講演情報をご案内します。

★「THEハプスブルク」京都展 記念講演
日時 2010年1月31日(日) 午後14時~15時半
会場 ハイアットリージェンシー京都
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投稿者 中野京子 2010/01/12 12:15:48 世界史レッスン<映画篇> | | トラックバック (2)

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 朝日新聞ブログ「ベルばらkidsぷらざ」で連載中の「世界史レッスン<映画編>」第30回の今日は、「狂乱の片思い」⇒ http://bbkids.cocolog-nifty.com/bbkids/2010/01/post-b7ec.html#more  メルバーン卿夫人カロラインとバイロンの短い恋について書きました。  さて、さて、  あけましておめでとうございます。今年もどうぞよろしくお願いいたします。  毎週火曜日一回しか更新しないこのブログですが、たくさんの方々に読んでいただけてとても嬉しい... 続きを読む

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なんで幽白と薄桜鬼コラボしたし^^ 微笑みの爆弾で歌ってみたシリーズを聴き比べてたら出会った^^^^ なんなんだろうね。 幽白なのに何故か忍空をすごく思い出すんだが。ぇ 続きを読む

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