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2010年2月 4日 (木)

楽園の生活案内

ミルクに浮いた蠅

 おしろいを塗って、頬紅もつけて、さて完成!
 …と思いきや、楽園の人びとにとっては、これではまだお化粧を半分終えただけのこと。
 さらに重要なのは、この下地の上にエスプリを付け加えることです!

 彼女たちはあれこれと頭を悩ませながら、さらに刺激的な魅力を作り出します。
 そこで使われるのが、詩人たちによって「ミルクに浮いた蠅」とうたわれた、ムシュ(つけぼくろ)というもの。
 仕上げにこのムシュを身体のどこにつけるかが、彼女たちの価値を決定する最後の一手なのです。

 このムシュの習慣は、もともと歯痛を和らげるためにこめかみに貼った膏薬が起源だといわれていますが、17世紀になると、当時流行していた天然痘によって不幸にもできてしまったあばたを隠すためにも有効だとされ、さらには肌の白さを際立たせる効果があるだとか、色っぽさや愛嬌を演出してくれる効果があるとかで、多くの人びとに好んで使われるようになったようです。

 そして最初は単なる膏薬でしかなかったのものが、その用途が変化していくうちに、次第になんともお洒落なムシュが登場するようになりました。
 素材はタフタビロード、それらを十字架馬車三日月などの色々な形に切って糊で貼り付けます。
 残念ながらお金のない女性は紙などを使ってごまかすしかなかったようですが(これは悲しいですね…)、豪華で凝ったムシュになると、ダイヤモンドが散りばめてあるものもあったのだとか。

 しかし、重要なのは素材ではなく、やはりこれらを貼り付ける位置です。
 この位置には、一応公式で認められているルールがありました。
例えば、「色気ある女性」は目尻に、「荘重な女性」は額に、「朗らかな女性」は笑うとできる襞(ひだ)に、「妖艶な女性」は頬の真ん中に、「コケットな女性」は唇のそばに…といったような具合に。
 各自、自分がなりたい、周りにそう思われたい、と思ったものに合わせて場所を決めれば、これで万々歳というわけです。

 …が、きっと、このルールにただ従っているだけでは、他の貴婦人方の中に埋没してしまうことでしょう。

 これは半分私の推測のようなものですが、彼女たちはそのルールを柱に、それをちょっと逆手にとった場所にも貼り付けてみたり、あるいはルールで決められた場所以外にも自分が最も自信のある部位にわざと目立つムシュを貼り付けてみたりなどして、そこに注目を集めるような色々な努力をしていたのではないでしょうか。
 そしてきっと、自分にとっての素晴らしいムシュの配置について、常に研究を重ねていたのではないでしょうか。

 そう考えてみると、なかなか奥深いお洒落だな、なんていうふうに思います。

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投稿者 ベルばらKidsぷらざスタッフ  2010/02/04 11:00:00 楽園の生活案内 | | トラックバック (1)

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今日はベルばらkidsぷらざの、mashironのコラム、『楽園の生活案内』の更新日です 第14回は、「ミルクに浮いた蠅」。 楽園の人々が愛用した、つけぼくろについてのお話です。 前回から続いて、頬紅、おしろい、つけぼくろと、貴婦人のメイクについてお話してきたわけですが、それも今回で一区切り。 ここではこういった楽園の人々が好んだ、「人工の美」についてのお話をしたいと思います。 ペチコートをはく娘たち 楽園では何もかもが人工的でした。 人間の本性ですら、その時代に求められた形に沿って無理矢理捻じ... 続きを読む

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