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2010年4月16日 (金)

神々のプロフィール―ばらに宿った神話―

芸術の女神ムーサイの恩恵と罰

 『ベルサイユのばら』登場人物の多くは音楽、演劇、絵画、舞踊等芸術をたしなむ。
 マリー・アントワネットは、幼い時からダンスが得意であり、『セビリアの理髪師』を自ら上演する等、オペラも大好きだったし、ハープもお得意だったようだ。
 オスカルもバイオリンが得意で、その美しく凛々しい姿に憧れた画家が彼女を絵にしている。

 王族、貴族たるもの芸術活動とは切っても切り離せない関係にあるようだが、今回はその芸術を司る女神、ムーサイを紹介したい。

 ギリシャ神話をよく知らない人でも“ミューズ”という言葉を聞いたことはあるだろう。この“ミューズ”とは、ギリシャ神話の芸術の女神、ムーサイの英語名である。
 「ミュージック」(音楽)、「アミューズメント」(技芸)、「モザイク」(装飾)は、この“ミューズ”から派生した言葉であり、「ミュージアム」(博物館)は、元々はムーサイの為の神殿を現す言葉である。エピソードこそ少ないムーサイだが、その名は最もポピュラーな女神たちといえるだろう。
 ムーサイは、神々の王ゼウスと記憶の女神ムネモシュネとの間の娘たちである。ゼウスは、ムネモシュネの元に9夜連続で通い、やがて月満ちて女神は9人の娘を産み落としたという。その娘たちが9人姉妹の芸術の女神ムーサイなのである。
 一口に“芸術”といっても色々な分野があるが、その広い守備範囲を姉妹たちは分担して受け持っている。例にあげると、最も賢いとされているカリオペが叙事詩を、喜劇のマスクを手にしたタレイアが喜劇を、大変厳格な性格で、いつも憂いに沈み、瞑想にふけっているというポリュヒュムニアが賛歌と雄弁をというわけである。

 芸術家の守り神であり、その才能やインスピレーションの元であるムーサイだが、芸術家を審判し、厳しく罰するという一面もある。
 歌や竪琴の名手で、伝説的な音楽家であったタミュリスは、自分のその技がムーサイに勝ると豪語していた。思い上がったタミュリスは大胆にもムーサイに勝負を挑み、しかも自分が勝利した暁には9人姉妹全員の貞操を差し出すようにと言ってきたのだ。
 突っぱねられても仕方が無い不敬極まり条件だが、そこは芸術の女神ムーサイ、涼しい顔で堂々と受けて立ったのだった。
 結果はタミュリスの完敗。芸術家が芸術の女神に挑むなんて、やはり無謀な挑戦だったのだ。
 ムーサイたちはタミュリスを完敗させたというだけは許さなかった。彼から音楽の技を奪い、視力まで奪ったのである。
 また、海の怪物セイレーンは、ムーサイたちとの争いに敗れ、海に身を投じたものであるという説もある。
 恩恵も与えるが、自分たちを敬わない者には女神たちは容赦しないのである。

 しかし、タミュリスに関しては面白い後日談がある。
 タミュリスの不名誉な敗北にも関わらず、後代の芸術家は音楽上の改革や作品を彼に帰し、彼を尊敬し続けているのである。
 ムーサイの保護を得るばかりではなく、芸術家たるもの女神を支配するくらいの気概を持つべきということなのだろうか。(米倉敦子

《参考文献》
『ギリシア・ローマ神話辞典』 高津春繁著 岩波書店』
『もう一度学びたいギリシア神話』 松村一男監修 株式会社西東社』

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投稿者 ベルばらKidsぷらざスタッフ  2010/04/16 11:00:00 神々のプロフィール―ばらに宿った神話― | | トラックバック (0)

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