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2010年6月 3日 (木)

楽園の生活案内

おそまつな医療事情

 楽園において、何か病気になったときの治療法といえばそれは、「瀉血、灌腸」言って良いでしょう。

 楽園の世界では、病気になったときは身体の中に何か「悪い体液」がめぐっているものだと思われていましたから、とにかくそれを体外に排出することが必要だと考えられていました。
 そこで、瀉血、灌腸です。

 灌腸はルイ11世の頃から貴族たちの間で大流行。
 これをするととても気持ち良くなれるとして、一日に3、4回行なうことも珍しくありません。
 腸に近い位置を治療するのに良いとされていましたので、当然子宮にも効果があるとされ、貴婦人の間でも大人気の治療法でした。
 しかも、頭痛にも効くとのこと。
 もしそうなのだとしたら、貴婦人方は大きく結いあげた美しい髪の毛の重みからくる痛みにも、これが効くとして注目していたかもしれません。

 瀉血は、故意に血を外に流すことによって、「悪いもの」を排出するという治療法。
医師は瀉血パレットを何枚も用意して、患者の血を抜いていきます。
 しかしこれは弱っている人ほど、大変な負担を強いられるもの。
 実は病そのものではなく、この治療によって命を落としたのではないかと思われる人も沢山いたようです。

 他にも水銀アンチモンなど、現代の私たちにとってみれば有害だとわかっているような物質を用いての治療も、医師たちの手によって平然と行なわれていたのです。

 ルイ14世の虫歯の治療法は壮絶でした。
 ドクトル・ダガンの主張する、「歯はすべての病気の温床である」という説に従って、12回に渡る手術の末、ルイ14世の歯はすべてやっとこで引き抜かれてしまいます。
そして真っ赤に焼けた鉄の棒を歯茎に押し当てることによってこれを消毒とし、手術は終了。
 しかしこれによって口の天井には穴が開いたままになってしまい、ルイ14世は飲み物をとると、鼻から液体が噴出するのが常態となってしまったのです。

 そして悪名高い、侍医ファゴン
 彼は長きにわたって王家のお抱え医師としてその名声をヨーロッパ中に轟かせていた医師でしたが、実際のところは次々と人々を墓場へと放り込みました。
 ブルゴーニュ公家の人々も次々とその犠牲になり、彼らははしか(または天然痘)の他、ファゴンが施した瀉血、下剤、催吐剤が原因で、たったの2週間で一家がほとんど全滅してしまいます。
 最後にただ一人残された2歳の次男については、養育係のバンタドゥール公爵夫人によって秘密の場所に隠された結果、ファゴンの追跡を逃れて自然治癒したのだとか。
 その彼こそが、のちのルイ15世となる人物です。

 やんごとなき方々はさぞかし最新の素晴らしい医療に身を守られているのだろうと私たちはつい想像してしまいそうになりますが、蓋を開けてみればこのように、意外にもそうだとはいえないということがわかってきます。
 そしてこのような事態では、実は何も治療を受けることのできない庶民のほうがよっぽどましだと考える人もいるのです。

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『秘密の花園』貴族たちの日常や文化がいっぱいなブログ。ベルばらKids関連話も更新していく予定です。よかったら是非、遊びにきてくださいね!」

     

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投稿者 ベルばらKidsぷらざスタッフ  2010/06/03 14:15:27 楽園の生活案内 | | トラックバック (2)

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今日はベルばらkidsぷらざの、mashironのコラム、『楽園の生活案内』の更新日です 第23回は、「おそまつな医療事情」です。 もしかして治療など受けない庶民のほうがよっぽど長生きをするのではないかと噂されるほどの、恐ろしい宮廷医療。 その実態がどのようなものであったのかについてのお話です。 それについてはそちらのほうを参照していただくことにして、こちらでは特に、当時の主な治療法であるところの灌腸についてお話していきたいと思います。 灌腸は、ルイ11世の世紀から、大流行を始めます。 ルイ11世... 続きを読む

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