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2010年7月13日 (火)

世界史レッスン<映画篇>

まるで前世からの因縁のように 1800年

  ~アントワネット没後7年~

 名誉のための決闘は、15世紀から19世紀前半まで――幾度も禁止令が出されたにもかかわらず――ヨーロッパ各国で延々続いた、いわば男の文化(?)。「決闘した著名人たち」(「世界史レッスン」第77回)で列挙したように、ヘンデル、バイロン、デュマ、ウェリントン、カサノヴァ、プーシキン、ガロア、メリメ、マネなどが経験者だ。中でも凄いのはビスマルクで、25回も決闘している。

 実話をもとにした『デュエリスト/決闘者』(リドリー・スコット監督、1977年公開)には、ビスマルクなみの決闘好きが登場する。

 時は1800年。フランス軍のデュベール中尉が、伝令を命じられるところから話がはじまる。同じ隊のフェロー中尉が、軍規違反の決闘沙汰をくり返し、この度も市長の甥に重傷を負わせたというので、「自宅謹慎せよ」との命令を伝えることになったのだ。

 人間、どこで陥穽(かんせい)にはまったかは、後になってみないとわからない。デュベールにとっては、この小さな仕事がまさにそれだった。フェローを探し当てて、上官の命令を伝えると、いきなり逆恨みされ、その場で決闘を申し込まれてしまう。めちゃくちゃである。

 この時は途中で邪魔が入り、引き分けになる。フェローはいっそう腹を立て、すぐまた新たな決闘を挑(いど)んでくる。殺すまで気がすまないらしい。

 さりげなく占い師の言葉が語られる。ふたりは前世からの因縁で、死ぬまで戦わねばならない宿命だというのだ。友人はデュベールに忠告する。決闘は軍隊内の同じ位階でなければ名誉と認められない、だから相手より出世すればいい、と。

 デュベールは出世の階段を上がってゆく。ところが引き離したと思うそばから、しぶとくフェローも昇進し、また決闘を申し込んでくる。受けないわけにはゆかない。

 幸いというべきか、ナポレオン戦争の真っ只中なので、必ずしも駐屯地は同じにならない。戦地が遠く離れれば、いかなフェローも追ってはこられない。

 とはいえ、フランス、ドイツ、ロシアと、どうしても数年おきには顔をあわせる巡りあわせだ。その度ふたりは、ほんとうに前世からの因縁であるかのように、剣で、騎馬で、銃で、血まみれの闘いをはじめるのだった。

 なんと16年間にもわたり、ともに将軍の座へ上りつめてまでなお、無意味な決闘は続けられる(考えようによっては、お互い昇進できたのは、この決闘のおかげだったかもしれない)。

 腕前が互角なので、勝ったり負けたり、負けたり勝ったり・・・・。ふたりの決闘は軍隊名物になり、賭けの対象にさえなるが、それでも決着はつかない。どちらも相手に致命傷を与えるまでには至らない。

 こうなると、傍からは一種の擬似恋愛めいて見えてくる。だからこそ片方が結婚すると終わりがきたのだろうか? いずれにせよ、女性には全く理解不能の話ではある。 (中野京子)

movieデュエリスト/決闘者

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監督: リドリー・スコット
出演: キース・キャラダイン、ハーヴェイ・カイテル他
公開: 1977年


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投稿者 ベルばらKidsぷらざスタッフ  2010/07/13 8:51:11 世界史レッスン<映画篇> | | トラックバック (1)

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