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2010年7月23日 (金)

神々のプロフィール―ばらに宿った神話―

永遠の愛の物語~セレネとエンデュミオン

 大好きな人と相思相愛の恋人同士になれた人物が、「このまま時が止まればいいのに!」とつぶやく。そんなシーンが恋愛小説や恋の歌にはよくある。
 それはあまりにこの瞬間が幸福だからだと思うが、それだけではないだろう。彼らはどこかでこう感じているのである。人は年を取り、変化し、それ故、恋の絶頂期は永遠に続かない。恋の情熱は日常の中で磨耗し、だんだんと冷めていく。それを防ぐことは、神様でも無理なのではないだろうか?

 ギリシャ神話の月の女神セレネも、羊飼いの美青年エンデュミオンを恋に落ちたとき、「このまま時が止まればいいのに!」と思ったようだ。
 セレネは、曙の女神エオスの姉。恋多き女神で、今風にいうと肉食系なエオスに比べると、淑やかな印象の女神である。しかし、恋の数こそ妹に勝てないものの、セレネは情の深さでは断トツだった。セレネが一度惚れたらとことんであり、エオスのように、とっ変え、ひっかえという発想はない。
 だからこそ、永遠に生きる女神の身としては、永遠ならざる人間に恋をすると困るのである。

 エンデュミオンを深く深く愛しぬいたセレネは、この恋人が年を取り、外見も中身も変化せざるを得ない人であること嘆いた。今この瞬間の美しいエンデュミオンとの愛を永遠に留めることができればいいのに。これが女神の願いであった。
 そして、そこはさすが聡明な女神、とてもよいアイデアを思いついたのである。
 エンデュミオンに永遠の眠りを与えることによって、彼の時を止め、今の彼を未来永劫保存したのである。

 エンデュミオンの夢の中にセレネは毎日訪れる。そして、変わらぬ愛の日々を夢の中で繰り返した。セレネとエンデュミオンはその永遠の逢瀬により、50人の娘をもうけたという。

 しかし、女神の恋人でなくても、永遠の愛は存在する。
 良い例が、我らがマリー・アントワネットフェルゼンのカップルである。
 アントワネットとフェルゼンは、まだ10代の若いときに出会い、アントワネットが亡くなるまでお互いへの思いを保ち続けた。
 もちろん、アントワンネットとフェルゼンも、時と共に青春の若さは失ったし、ましてやアントワネットは王妃としての地位も失い、外見ばかりかその立場も激変した。しかし、フェルゼンは、変わらずアントワネットを愛し続け、彼女が死ぬ直前にも命を懸けて会いにもいった。

 2人の恋愛を追っていくと、むしろ出会った時よりも年月がすぎる毎にその思いは強くなっていくようにすら感じられる。
 出会ったときはお互いに「素敵な人!」とピンときたくらいだったように思えるが、それが年月が経つ毎にますます離れがたくなっていくのだ。
 永遠の愛というよりは、深まっていく愛。この素敵な愛の形は、変化し、成長することができる人間だけの特権といえるだろう。(米倉敦子

《参考文献》
『ギリシアの神話 神々の時代』 カール・ケレーニイ著 植田兼義著 中公文庫
『もう一度学びたいギリシア神話』 松村一男監修 西東社

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投稿者 ベルばらKidsぷらざスタッフ  2010/07/23 11:00:00 神々のプロフィール―ばらに宿った神話― | | トラックバック (0)

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