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2010年8月 6日 (金)

日仏歴史談議

ルイ15世の命を奪った天然痘

 天然痘は、現在、人類が根絶することが出来た唯一の感染症である。『ベルサイユのばら』では、ルイ15世が天然痘で死亡している。また、日本の江戸時代では、毎年流行するようになり、身分に関係なく誰もが(天皇も将軍も)罹っていた。

 天然痘の起源は、インド説と中央アフリカ説があり、(歴史上)最初の患者は、紀元前1157年没のラムセス5世とされている。ヨーロッパには5、6世紀頃、日本には、6世紀後半の仏教伝来の頃、朝鮮半島から入ってきたようで、敏達天皇(?~585)が天然痘で亡くなっている。日本では天然痘のことを、痘瘡(ほうそう)とか豌豆瘡(わんずがさ)と呼んだ。奈良時代には大流行し、藤原不比等の4人の息子たちが相次いで亡くなるなどし、東大寺の大仏造立のきっかけとなった。その後も、大流行を何回か繰り返し、幕末には孝明天皇も罹患し亡くなっている。

 症状は、ウイルスが体内に入り、潜伏期間は7~17日で、まず激しい頭痛・筋肉痛があり、3~4日高熱が出て、嘔吐、小さい赤い発疹ができ、発疹が膿をもってふくれ、乾き、カサブタとなり、皮膚から落ちる。約2週間で全快するが、一命を取りとめても、ミラボー伯のように、顔に膿痘の痕が残ることや、失明することもあった。ルイ15世の発症から死に至るまでの経過を簡単に見てみる。

1774年 4/27
王太子(ルイ16世)と共に狩猟に出かける
激しい頭痛と節々の痛み、吐き気と腎臓の痛み
プチ・トリアノン宮に泊まる

4/28
高熱、絶対安静にもかかわらず、国王ということで、
ベルサイユ宮に戻る

4/29   瀉血
p.m.0:00頃
臨床医14名、「液性カタル熱」と診断
(医師・外科医・薬剤師・薬剤師助手)

p.m.10:30頃
天然痘の特徴である赤みが顔にあるのを見つける
国王の家族を避難させる
ルイ15世には告知しないことに決める

5/2
発疹が全身に拡がる、熱は下がる

5/3
ルイ15世は、自分の腕と体を見て、天然痘に罹ったことを悟る

5/4~6
悪性の天然痘に罹ったことがわかり、悲観的な様態が続く

5/7
a.m.3:00頃  告解を受ける

5/10
p.m.12:00頃 昏睡状態に陥る

p.m.3:15   

5/12 夕刻
サン・ドニ大聖堂で葬礼、死後感染を避けるため、
儀式は最低限のものに限られた


 ルイ15世は、数日前に感染していたプロヴァンス伯の妻やプチ・トリアノン宮の近隣に住む子供たちからうつったのではないかといわれている。

 天然痘の治療法はなかった。しかし、予防法は広まっていた。1750年代頃から、膿を数滴接種するという方法が行われていた。特にヨーロッパにおける重要な王家では接種が行われていた。マリー・アントワネットは、ウィーンで子供時代に接種していた。だが、ブルボン家は人民の血を聖ルイの血に混ぜることを疎んじたので接種していなかった。
 1790年、イギリス人ジェンナー牛痘法に成功し、19世紀中頃には子牛を使ってワクチンが作られるようになった。この牛痘法については、日本でも早くから情報は伝わっていたが、1828年のシーボルト事件によって、オランダ人医師の来日を見合わせていたので牛痘の痘苗が来るのが遅れていた。ようやく、1849年緒方洪庵によって、普及された。

 1967年、WHOにより天然痘根絶の強化対策が始まり、1980年5月8日に天然痘根絶の宣言がなされた。

ちょこっと最後に…ジェンナーの牛痘法と同じ1790年に、秋月藩(福岡県)の藩医緒方春朔によって、人痘接種法の成功をおさめています。安全性は高かったようですが、ジェンナーの牛痘法が入ってくると、取って代わられました。また、WHOのワクチン接種のよる天然痘根絶対策では、日本人医師蟻田功氏が対策本部長になり、天然痘根絶に尽くされました。(鈴木規子

    ◇

〈参考文献〉
『図解 歴史をつくった7大伝染病』 岡田晴恵 PHP研究所
『地球上から天然痘が消えた日』 蟻田功 あすなろ書房
『病が語る日本史』 酒田シヅ 講談社学術文庫
『日本歴史人物事典』 朝日新聞社編
『ルイ十六世』 ジャン=クリスチャン・プティフィス 玉田敦子他訳 中央公論社  『歴代天皇のカルテ』 篠田達明 新潮新書
『徳川将軍家十五代のカルテ』 篠田達明 新潮新書
『病気が変えた日本の歴史』 篠田達明 生活人新書
『病いと人間の文化史』  立川昭二  新潮選書

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投稿者 ベルばらKidsぷらざスタッフ  2010/08/06 11:00:00 日仏歴史談議 | | トラックバック (0)

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